No.509 '03/7/14

「コーロ羽衣」演奏会


「マイヌング(私の思い)」でシーズン・オフの想いを書いたのですが、実は今年前半の演奏会がもう二つありました。
一つは女声合唱団「コーロ羽衣」の第13回定期演奏会、そして「7月マンスリー・コンサート」です。

今日は思い出深い演奏会となった「コーロ羽衣」の演奏会について。
22年のお付き合い。団の創設から係わってきました。
いくつかの節目を乗り越えての歩みです。
今では、地元にも根付いていて毎回ホールは満席状態。
今回はそれを越して立ち見客を出してしまいました。(申し訳ないです。来年は解消する方向で検討が始まりました)

毎年「プログラム」に頭を痛めます。
私の主宰する「大阪コレギウム・ムジクム」の演奏会プログラムは音楽界の最先端を示していることが多いのですが、この合唱団ではより音楽を楽しめる方向性を探りたいとの思いです。
しかし、安易なものにはしたくないし、団員達の向上も図れるようなプログラムでなければなりません。
多彩で、視覚的にも楽しめてしかも音楽的、こんなプログラムを毎年変えて組むわけですね。(楽しくもあり、苦しくもありです)

今年は冒険をしたくなってこのコンセプトの「団員達の向上」の部分が急に難しい曲へのアプローチとなりました。
選曲した時点でも少しは心配したものの、一抹の不安があったことは事実。
それが演奏会が近づくにつれてその心配が本当になってしまいました。
見知った和音が無い、変拍子有り、難しい音程の連続、曲としては団員も好意を持っている者もすくなくないのですが、しかしなかなか歌えないんですね。
不安が募ります。不安が伝染します。
当日のリハでそれが露見しました。
団員はここ数年のうちに実力もつき、舞台映えも増し、自信もついてきています。
それが一人一人個人的なものとして現れています。
私と団員一人一人の関係の中でしかないのですね。
こういった難しい曲の場合、これでは良い演奏など望めません。
大事なのは私と団員、そしてその団員同士が聴き合えるという「信頼」が必須です。

久しぶりにリハが終わった時点で団員を集め、この「信頼して一緒に」の話をしました。
合唱の演奏会は「個人技の披露」ではありません。
皆が一緒になって音楽を創り上げようとする「集団の業」です。
「個人的には十分な実力がついています。今、必要なのは後ろや隣やパート間での信頼と協力の上にたって聴き合うことです。」
「自分を信じて、そして人を信じて、練習してきたことを皆で達成したい、達成できるという意志の確認と実行です。」
「来ていただくお客さんに楽しんで頂かなくては何のための一年間の集まりだったか判りません。一緒に作る音楽は楽しいんです。その思いはそれでこそお客さんにも伝わります。このままでは寂しい思いの演奏会になってしまします。」
という意味のことを喋りました。
皆、真剣に聴いてくれましたね。

本番は見違えるほどの演奏でした。
最初のステージから反応が良かったです。思わず涙腺が緩みました。
問題の難曲も上手くいきました。(演奏し終えた時点で思わず「やったね」ってつぶやいてしまった程です)
会場一杯のお客さんにも喜んで頂けたと思います。
お客さんの笑み一杯の顔、顔、顔。
「コーロ羽衣」の演奏会はその「あったかい聴衆」が本当に嬉しくて、有り難くて、胸一杯になってしまいます。

素敵な団員達です。
22年の歩み、これからも地元に根付いた活動を続けていきたいと願っています。


さて今年前半残すところの演奏会は、7月「マンスリー・コンサート」(16日)のみとなりました。
この報告は又としますね。

No.509 '03/7/14「「コーロ羽衣」演奏会」終わり