No.526 '03/910/6

「東京都合唱コンクール」第二日目の感想


コンクールの審査を終え、今北海道に来ています。
秋の北海道、紅葉の北海道が見たくてやってきました。

10月5日二日目は【高校部門Aグループ、Bグループ】【大学部門Aグループ、Bグループ】でした。
この部門、実はちょっと心配でした。
過日、埼玉の大宮で行われた「NHKコンクール」では疲れてしまってこの部門は気が重たかったのですね。
印象が悪かったのです。(出演された方々には失礼な話ですね。中には良い演奏、私の指向ではなくても納得できる演奏はあったのですが、全体的な印象としてしばらくは忘れることのできない日々となっています。その理由についてはこれから色々機会を見つけては書いていきますので、ご寛容の心で読んで頂ければと願っています)

しかし、結果としての感想なのですが【高校部門Aグループ】は少し楽しめました。発声面での問題はまだまだあるように思われるのですが、学校によっては随分良い方向も感じて疲れかたもそんなにひどくはなかったのですね。(こんな書き方をするとまたまた気を悪くされる方もおられるかもしれませんね、許して下さい)
正直に書きますね。
もちろん「発声」の問題もあるのですが、それよりも、「音楽」をあまり感じない、それが一番私辛いのです。
一生懸命歌っていますよね。それだからこそより辛いのです。

<歌う>ということは知識やテクニック、アンサンブルのノウハウやマニュアル通り、教えられた通りで歌うのではなく、一音符でも多く、感情の、心の、<ひだ><震え>を表現することだと思うのです。
感情を伝えるために発声やテクニックがあるのであって、<発声><テクニック>が浮き出てしまい、結果としてそれらで競ってしまうというのはそれでは「歌」にならないんじゃないかと私は思うのですね。
「歌」というのは感情表現に適した発声や表現法を通して、発見して、さらに言うならば創造して作品を演奏していくということだと思うのです。
また、もう一つきになることがあります。
「合わせ」の問題ですね。
合唱の本質は「お互いが聴き合う」ということだと思うのですが、その「聴き合う」という行為もまだまだ理解されていないのではないかと私には思えました。
若いのですからもっと大胆に、そして積極的な「合わせ法」を示してくれれば・・・・・って思ってしまいましたね。

【高校部門Aグループ】での各学校別の感想は後ほど書こうと思っていますが、その中でも印象に残った演奏だけ今記しておきましょう。

【共立女子第二高等学校コーラス部】
メゾが弱いのかソプラノが強いのか。もう少しメゾが自己主張くれればなぁとは思いましたが、全体によくハモリ、そしてラテン語の発音も適切で曲の様式感にそって聴かせてくれました。曲に対する適切な解釈、そして表現が印象的です。

【共立女子高等学校音楽】
「ヴォーチェ・ディ・フィンテ」の発声です。
それも額の位置、目の位置で響きます。これいいですね。課題曲でハーモニーとしてのバランスの悪さも聞こえてきたのですが、曲の流れが落ち着いていて、繊細さも感じさせる演奏は好印象でした。自由曲の発声は一段と良くなりましたね。もう少しラテン語の見直しと積極的な表現も欲しいとは思いましたが、なによりも曲に対する姿勢と適切さに好感を持ちました。

【国立音楽大学付属音楽高等学校合唱部】
一応「ヴォーチェ・ディ・フィンテ」でしょう。
ソプラノの少し被って聞こえる声が気になります。キー音はfisですね。
しかし、アーティキュレーションやフレージングがとても良かったと聴きました。
ただ、今回の演奏でのポイントはピアノ伴奏だったと思っています。ちょっとピアノが強かったと思うのですが・・・・・。コーラスがかき消されてしまうシーンが多いように私には聞こえました。
でもハッキリと書いておきます。音楽の作りはホントによかったと思いました。この演奏、評価する点で私を悩ませたことがとても印象深いのですね。

【東京女子学院高等学校合唱部】
「ヴォーチェ・ディ・フィンテ」の発声ですね。ハーモニーが美しかった。特にソプラノの伸びやかさに感心しました。
自由曲でもソプラノに耳が行ってしまいます。
もう少し言葉の響きとしてのバランスの良さを全曲にわたって聴きたかったと思いましたが、その特徴であった美しい響きは印象的です。

【高校部門B】そして【大学部門Aグループ、Bグループ】ですがこれらの演奏については個別の時に書きましょう。
これらについては問題が多すぎるような気がします。今、それをどのように表現したらよいかを考えているところです。
どうしたら私の真意が伝わるか考えますね。
合唱をされる方すべての問題かもしれません。

No.526 '03/10/6「「東京都合唱コンクール」第二日目の感想」終わり