第137回('12/01/04)

2011年を振り返ります。

2011年を振り返ります。
2011年2月は新事務所への移転。サービスの向上には不可欠と考えて「日本福音ルーテル大阪教会」近くに移転しました。会員の皆様にも立ち寄って頂けるような事務所にしたい、練習場やその他利便性においても良い場所になったと思っています。

同じ2月、柴田南雄作品の新録音「三重五章」。私が指揮する団体のメンバーも加わっての録音。新たな全集にも収録され柴田先生との約束を果たせてとても嬉しく思いました。


そして、3月。あの東北太平洋沖大震災/東日本大震災に見舞われます。それ以後、私の脳裏を離れることなくこの悲惨な出来事と対峙する毎日です。
その二日後に開催した名古屋公演。記憶に残る痛恨と哀しみの演奏会となりました。
またその影響下でおこなった「東京コレギウム・ムジクム合唱団」の演奏会は、「計画停電」によって会場の変更を余儀なくされての開催となりました。第一回目の演奏会、実はメンバーの中に手一杯、ぎりぎりの演奏になってしまった人がいました。
演奏会が終わってその人たちが団を離れることになりました。正直辛かったです。
少し団作りを急ぎ過ぎたかもしれません。離れることになったメンバーは思っていたよりハードに感じたようです。
反省としては、東京に出かける回数を多くして沢山話をし、個人のケアーをもっと沢山できるような余裕を持てれば良かったことですが、ちょっと辞めていったメンバーを過信し過ぎていたきらいもあります。
「楽しく練習できて、また楽しさを伝えられるような団にしたい」、それらを体験してもらえなかったのが本当に残念です。その後、団の成り行きを心配したのですが、その後の最初の練習で私が泣いたことは既に書きました。心配を吹き飛ばす堅固な音楽、ハーモニーが流れたのですね。今でもその時のことが目に、そして耳にしっかりと刻み込まれています。

3月の終わりから4月の終わりにかけて休暇を頂きました。ほぼ1ヶ月間の沖縄石垣島での長期休暇です。こんなに長いのは初めてです。
活き返り、心のリフレッシュができたと思います。

帰阪して直ぐ、4月30日、5月1日は山口県で合唱講習会を催しました。
素敵な出会いがありました。そして素敵な出来事が起こりました。
私の行くところ奇跡が起こります。(スミマセン、こんな書き方で)

この後、「関混連」。大勢の学生を前にして棒を振ります。このステージ、現代学生気質が解って勉強になりました。そして「現代音楽シリーズ」と続き、その「現代」の演奏会で「大阪文化祭賞グランプリ」を受賞。
とても嬉しく思っています。大阪にこだわり、大阪から発信することに重きを置く私にとって、地元からの受賞はなによりの励みです。
これからも良いステージ作り、文化の発信を心がけたいと思っています。

7月は名古屋と京都で「合唱講座」。受講生が全国から発声、アンサンブルを学びに来てくれます。
ここでも新たな出会いがあり、それ以後もお付き合いが始まるきっかけです。
合唱の新しい輪の広がりを大切に、長いお付き合いになりますよう心して良い関係作りを目指すつもりです。

8月は、7日「東西大学OB合唱連盟演奏会」。実に愉快で刺激あるステージでした。往年の曲を往年の人たち(失礼!)と歌う、これは想像以上に楽しいものでした。尊敬と応援の気持ちで振ったのではないでしょうか。このステージ、感謝に堪えません。いい男たちでした!
そして21日が男声合唱団「風童」の第二回演奏会。男声合唱の響き作りは奥深いです。これからは今までに無い響き作りに挑戦です。

そして9月3日と4日。名古屋NHKコンクール審査員。台風の影響で3日は中止、延期となって4日の1日だけの審査員でしたが、やはりコンクールは疲れます。というか、難しい問題を含んでいてどうも私の中で嵐が吹きすさんでいます。2012年からは全てのコンクールから身を退こうと思いました。(深いところで気持ちと体のアンバランスを感じます。コンクールという競い合う功罪が気になって仕方ありません。)

コンクール後、12月まで怒濤のようなスケジュール。
「OCM」、「CMC-Kyoto」、「TCMC」、「VCN」、それぞれの演奏会が並びます。
「OCM」9月25日[邦人合唱曲シリーズ]は例年のようにハードな演奏でした。しかし、日本の合唱音楽の最先端を示したいとの意気込みです。曲目もしかり、そして表現法もしかりです。
10月23日「SCO」定期演奏会いずみホール。初めてと言ってよい「シンフォニア・コレギウムOSAKA」の定期。充分にアンサンブルの魅力をとプログラムを組みました。皆にもいったのですが、ここに来てやっと「私のアンサンブル」と言える機運を感じました。このステージで女声合唱団「ゆい」がお披露目の演奏。その演奏がブラームスであったこともこの団の先行きを暗示しているかのようです。楽しみに育てようと思ってます。
11月5日「CMC-Kyoto」の教会コンサート(カトリック衣笠教会)。良い演奏でしたね。メンバー一人一人の確かな成長を見ました。「CMC-Kyoto」もこれから!と本気で思いました。お客様の素敵な顔が印象的でした。
11月13日OCM神戸公演(神戸朝日ホール)。復活した朝日ホール、お気に入りの響きでご機嫌です。私の作品集CDの収録曲を急遽再録しました。
11月26日「TCMC」第一回教会演奏会。「神田教会」。実をいうと、前回の演奏会の後遺症でテノールとバスのメンバーが少数となっていました。その助っ人役として「VCN」からメンバーを補充。これに刺激を受けた「TCMC」メンバーの凄かったこと。その実力を、いや実力以上の気迫をもってとても素敵な演奏を展開してくれました。音楽は心の躍動、「ノリ」が大切だと教えてくれる演奏会だったと思います。そう、17時のチャイム奇跡もありました。
12月10日「VCN」教会コンサート「カトリック五反城教会」。「名古屋ビクトリア合唱団」はこの演奏会で「会場」を選ぶ時期に来たのではないかと思わせました。良い響きの中で歌わせたかったですね。彼らのハーモニー感覚は会場も選びます。どのような場所にあっても素敵なハーモニーを作らなければ一流とは言えないかもしれないのですが、そのためにももう少し響きの良いところで歌う経験をしてもらいたいですね。
12月18日「OCM」クリスマス・コンサート。いずみホールです。ここでハッキリと「シンフォニア・コレギウムOSAKA」との息が合い始めたことを感じました。組織してから何年が経ったことでしょう。しかし、この日のアンサンブルは確かに「息づき」「躍動」し、心温かい演奏を終始表現してくれました。人間が演奏する人間のための演奏です。「SCO」は誇って良い演奏団体になったと思います。
12月23日クリスマス・スペシャル(忘年パーティー)。一年間の感謝の気持ちを表したいとの演奏会、そしてパーティー。大震災、大津波、大雨で列島が揺れに揺れ、想像外の多大な被害をもたらし、心身ともに震えた年でした。心の疼きを棒に込めました。合唱団、「SCO」とも最後の最後まで心を尽くして演奏してくれたと思います。来て頂いた皆さんの笑顔が何よりの祈りとなったと思います。

私個人に関することとして、楽譜出版を上げておきます。
以前、カワイ出版から編曲集を出しましたが(鈴木憲夫さんにお世話になりました)、今度は私の作曲(一部編曲)による曲集。作曲家でない私が出版することに責任と不安を感じますが、私の間違いない「私自身」の化身であるわけですから、音楽家としての「信仰告白」として聴いて頂けるのではないかと思った次第です。どう受けとめて頂けるか、「首を洗って」待っている心境です。

去年2011年に入ってからずっと「再生」という言葉が私の脳裏を駆け巡っていました。
再び生まれ変わる、蘇るということですね。
継続が大切と思っています。そして継続には努力が必要です。ただ流れているだけでは継続にはならない、そう思うのです。
長く同じ事に従事していると惰性による慣れ、「怠惰」と感覚の「鈍化」が進みます。
感覚のリフレッシュの為にも、更なる音楽追求(新しいレパートリーの模索)とテクニック(それぞれの分野におけるコントロール技術、精神面の深さ(経験に裏付けされた人間としての深さ)、その両面における進化が必要です。
2011年はリフレッシュとしての再生と飛躍。その歩みを始めた折りの「大阪文化祭賞グランプリ受賞」は本当に嬉しかったです。
パワフルな演奏が特徴の「OCM」。それに加えて最近では「あたたかさ」「優しさ」も特徴との感想を沢山いただくようになりました。
2012年はメンバーにとっても団にとっても、正確(精確)さに加えて、内実深化、充実に伴う拡充を目指したいと思っています。

第137回('12/01/04)「2011年を振り返ります。」この項終わり。


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