第31回('98/1/14)

「書評」

音楽雑誌の書評ということでした。
ここにあげる雑誌は一部でしょうが、月刊誌としては代表的なものでしょう。
私も一誌(音楽現代)を除いて以前に読んでいた雑誌ですし、今は音楽現代も入れて全て目を通しています。

雑誌は
●音楽の友
●音楽芸術
●レコード芸術
●音楽現代
です。

上の三つは音楽出版社の老舗、<音楽の友社>から出ている雑誌です。
まず最初は「音楽芸術」からいきましょう。

「音楽芸術」は専門誌です。
読者は、音大生、教職者、研究家といった現職者ではないかと思います。
記事は必読に値する最新の論文、報告、ニュースといった記事です。
私もこれだけは音楽雑誌を読まなくなっていた時期でも目を通していたものです。
記事内容が専門的なこともあって、一般にはあまり目に留まっていなかった雑誌だと思います。
町の小さな書店では置かれていないことも多いです。
この雑誌の性質上、「現代音楽」の記事が目立ちます。「バロック」や、「古典」の記事もありますが、音楽の紹介といったものよりはその演奏法や文化史的な問題を扱う内容になっています。
なかなか読み応えのある雑誌ではありますね。

「レコード芸術」はレコード・CD・ビデオなどの新譜紹介の雑誌です。
演奏者のインタビュー記事や各レーベルの話題などが掲載されていますが、なんといってもこの雑誌の中心は「新譜月評」でしょう。
リリースされたものを担当の評論家氏たちによって推薦盤が選ばれます。
毎月数多く出る新譜をこの雑誌を参考にして購入する、といったカタログ的な役割を果たしているのではないかと思います。
雑誌の厚さもあり、結構重いんですね、これが。

さて次がクラシックの音楽雑誌「音楽の友」と「音楽現代」です。
この2誌、それぞれのコンテンツ(目次)を見るとわかるのですが、よく似通っています。
特集記事があり、連載もの、海外ニュース、そして演奏会評といったものです。
私が読まなくなった理由が実はこの雑誌内容によっていたのだと思います。
とにかく一般の音楽愛好家がその対象と思われますから、記事の扱いがいつもセンセーショナルなもののようになっています。
記事も中途半端な感を持ちます。一過性のものだと割り切ればいいのでしょうが、読み終わっても「?」を感じてしまうんですね。
時々、音楽界は「今どうなってるの?」と思ったとき目を通すのがいいのかもしれません。
特に私などは「演奏会評」を楽しみに見るのですね。
聴きに行けなかった演奏会、あるいは大阪で聴いたけれど、同じプログラムでの東京公演はどうだったのかな?とか。
また、気になる演奏者や、オケ、合唱団なども知りたくて読んでいたんです。
しかし、以前にも「critique」でも書きましたが、その内容はかなりひどいものが多いです。
印象論だけで終わっていたり、曲目すらも書いていないような記事もあります。
演奏会に行っていた者なら判るのでしょうが、行けない者にとっては最小限の情報でもいいから欲しいんですね。
さらに、書き手のスタンスがわかり、演奏会の雰囲気が伝わるような記事であれば、それは読み物としても十分面白いものになると思うんです。
しかし、実際は記録文にもなっていなく、読み物としても面白くなく、誰のための記事か判らないような文が多いんです。
これで私はその雑誌全体の編集方針、編集者の視座を疑ったんですね。
今は、嫌気がさしたことや、レベルの低さを嘆くといったことより、中にはいい記事があるんだろうなぁ、それを見つけようか、といった風に読むことにしています。

「音楽の友」はあらゆる音楽を対象にしようとしている風があります。
クラシックなら(これの境が曖昧ですが)「何でも来い」といった感です。
読者層も広くねらっているのではないでしょうか。
老舗らしくなかなか格調の高さを感じさせるものなのですが、それだけに内容の充実度が気になります。

「音楽現代」は芸術現代社から発行。
「音楽の友」よりは的を絞った記事、小振りな感じがします。
内容は「音楽の友」と似たようなもの。人によって違うでしょうが取っつき安さはこの「音楽現代」の方ではないかと思います。関西ではこちらを読む層が多いかもしれないと思ってしまいます。(調べたわけではありません。そんか感じがするといったものです。・・・・・こういう曖昧さはいけませんね。)
しかし私にとってはどちらもどちら。
特に演奏会評の中に「?????」といった記事を見つけることが多いです。
これだけですね。私にとってのこの雑誌の問題点は。
後は好みで「音楽の友」にするか「音楽現代」にするかということだと思います。

他にも幾つかの音楽雑誌があります。
古楽の雑誌や吹奏楽関係の雑誌です。
この中には良い雑誌があるんです。
それについては「推薦する本」で紹介したいと思っています。

第31回「書評」この項終わり。