第53回('00/1/11)

合唱団の支柱

シュッツ合唱団のことを書こうと思います。
活動を始めてから今年で23年目を迎えます。
現在80名近くの団員を抱える組織として、その内部構造を書いてみるのも必要ではないかと考えました。

現在、合唱団の活動は、その理念も、活動も多岐にわたっています。
新入団員にはガイダンスを行っているのですが、説明もなかなか難しいものになっています。
入団して、経験して頂くのが一番の早わかりなのですが、独自性のためか、とまどいを感じる人も多いかもしれません。(合唱団の演奏会を一度も聴くことなく入団希望でお出で頂いた方は特にそうかもしれませんね)

合唱団の組織であるとか、運営方法についてはパンフレットも用意していますからそちらを参照していただくこともできるのですが、ここでは概略と理念の一端を記してみることにします。

なんと言っても、一番の特徴は「この合唱団は当間の理念を実現するために組織された合唱団」という一文が入っていることでしょう。
この文を入れることに当初は悩みました。
なんと不遜なことか。
この事情については、当時の他の合唱団活動のあり方を強く意識した経緯があります。
音楽的責任と特徴を全面に掲げることでその所在を明らかにしたかった、ということになります。

二つ目の特徴は、真の意味で「自由」な組織にしたいと志向していることでしょう。
個人的理念の実現を掲げていることと矛盾すると感じられるかもしれませんが、そのことこそ合唱団の大きな特徴であると思っています。

合唱団を「家」と例えましょうか。
「家」を設計し、建て始めたのは私です。
土地を提供していただいたのは当初の活動の場であったプロテスタント系の「教会」です。
そして小さいながらも建てられた「家」を支え、増築・改築を含めた堅固な建物にしていくといった働きは、団員、及びその中から選ばれた役員でした。
例えれば、団員や役員は建物を支える「支柱」ということになります。
<大黒柱>は合唱団の「代表」です。
そして私といえば、現在では3つの「家」(「アンサンブル・シュッツ」「大阪ハインリッヒ・シュッツ合唱団」「大阪バロック・ソロイスツ」)それぞれの更なる発展を司る設計者であり、かつリーダー的管理者といったところでしょう。
「家」はたくさんの人が訪れる「(音楽と人との)出会いの場」でありたいと思っています。「安らぎとエネルギーの源泉の場」でありたいとも願っています。

「家」の例えはやはり「例え」としての限界がありますね。
主人公は「人」です。
音楽を「要」として集った「人」が主役です。

その主役のことを次回に書きたいと思います。
それを通して更に合唱団の姿が見えてくるのではないかと思います。
その主役とは、現代表<飯沼正雄>です。

第53回「合唱団の支柱」この項続きます。