第68回('00/9/13)

25年を振り返ります(7)「アンサンブル・シュッツ」

25年前に私が目指したのは器楽アンサンブルによる演奏会でした。

合唱団のことが続きましたので、この辺で「アンサンブル・シュッツ」について振り返ろうと思います。

私にとって器楽アンサンブルは原点です。このことは重要だと思っています。
私の目指そうとする音楽は「歌」ではなく、「器楽」で表現したいと思うことがはじめでした。
そして最初に選んだ楽器は、管楽器と鍵盤楽器でした。
その理由の一つに私が吹奏楽をしていたということもあるのですが(楽器についていくらかの知識がありました)、そのことよりは管楽器特有の<音の発音>そのものによるところが大きかったと思います。
明確なアタック(音の立ち上がり)、息の強さと長さによるフレーズづくり、楽器の音色の差によるパートの分離、これらによって作品の構造を浮き彫りにしながら、自然なリズム感によって立ち上がる音の面白さに重点を置くことを目的としたのでした。

最初はフルートとの合わせでスタートです。
その後、オーボエが入り、ファゴットも入ってきます。
ここで大きな問題が立ちはだかりました。
それはレパートリーだったんですね。
私はバッハを中心としたバロック音楽で新しい演奏スタイルを模索したかったのですが、モダンの管楽器奏者にはバロック音楽はあまり面白くなさそうなんです。
理由は簡単。モダンの管楽器にふさわしい、面白い曲が他に沢山あるというわけなんです。
新しいスタイルを作り上げるには、楽器にとっても作品にとっても中途半端となってしまったのでした。

楽器には楽器特有の発音のスタイルがあります。
私がイメージする音やフレーズづくりには大胆な改革が必要だと気付き始めていました。
最初の計画が早くも暗礁に乗り上げてしまったのです。

その頃に合唱団の設立、そして弦楽器の参加もあって、私の計画は合唱を含めたジャンルであるモテット、カンタータ、受難曲、オラトリオへと向かいます。
バロックスタイルに精通することが新しいスタイル作りに繋がると確信を抱いていた私にとって、これは必然の成り行きだったと思われます。
「器楽アンサンブル」から「室内オーケストラ」へ。新しい方向性が生まれました。

これから室内オーケストラとしての「アンサンブル・シュッツ」について、その活動の経緯と展望を書いていこうと思うのですが、その中にはまだまだ賛否両論に分かれる意見もあるかもしれませんし、辛辣だと思われるものも含まれるかもしれません。
しかし、私が描くイメージはハッキリしています。
どのような響きが立ち上がり、どのようなスタイルで演奏するか、そして何よりも重要なことなのですが、どのような音楽を奏でるか!これがハッキリしています。

最近ますます評価も高くなっている「アンサンブル・シュッツ」です。
これまでの経緯、そして私の理想とする「アンサンブル」を示しながら、今までにもまして「アンサンブル・シュッツ」を充実させていきたいと思っています。

以前から告知していますように、「アンサンブル・シュッツ」の改名を図っています。
まだいくつかの候補名の中で決めかねています。
決定的なものがないのですね。
まだ募集中です。(10月初旬まで)良い名前を是非教えてください。お待ちしております。
新しい門出にふさわしい名前にしたいと思っています。

それではメンバーの思い出話(裏話?)から始めることにしましょう。

第68回「25年を振り返ります(7)「アンサンブル・シュッツ」」('00/9/13)この項終わり。