第70回('00/12/28)

2000年を振り返ります

今年の演奏会は「倉敷音楽祭」への出演、そしてバッハイヤーでの「ヨハネ受難曲」から始まりました。
倉敷ではまだまだの知名度でしたが、遠方から出演を知って駆けつけてくださる方もおられ、会場には熱気がありました。
演奏に対する反応もよく、聴衆から演奏中握手を求められる団員もいたようです。(最後の演奏曲目である柴田の「追分節考」で)
曲が進むに連れて拍手が大きく、かつ力強くなっていったのはドイツでの演奏会に似ていました。
今でもその時来てくださった方からその印象を聞くことが少なくありません。
合唱音楽の歴史を追ってのプラグラム。
こういった時の聴衆の反応はいつもエキサイティングなものになります。私たちの演奏の特徴がよく発揮できているかもしれません。
「来年も!」という声があったようですが、残念ながら来年の予定はありません。

その演奏から一ヶ月後、神戸元町でのミカエル教会でバッハの「ヨハネ受難曲」を演奏しました。
会場の音響はデッドなものでとても演奏は難しかったですが、久しぶりの「ヨハネ」、私たちの音楽の原点を見つめる上でとても重要なものでした。
神戸での演奏会ということで沢山の方にお出で頂きました。補助席を出しての満席状態でした。
ゲストとして参加してくださったエヴァンゲリストの頃安さんにはお世話になりました。ここに改めてお礼を申し上げたいと思います。

6月は恒例の「現代音楽シリーズ」。
このシリーズも定着したものとなり、私たちの二本柱(古典と現代)の一つとして注目を常に頂くようになりました。
こういった演奏会での助成は我々を勇気づけ、そして励まされます。その内容においては勿論のこと、広く現代音楽を紹介するためにも今後一層努力をする所存です。
今年のプログラムも決まりました。
それは21世紀の始まりにふさわしい内容であると思っています。また、私たちのこれからの方向性を示す意味でも重要なものであると位置づけしました。
「現代音楽シリーズ」の新しい取り組みです。

7月は京都アルティホールでの「邦人曲の夕べ」です。
このシリーズは日本語の扱いがテーマで始まりました。
ハッキリと聞き取れる言葉、意味の判る言葉、日常の言葉である日本語の再発見を目指したシリーズです。
その演奏のCD化を今年始めて試みました。(最初に選んだ作曲家は木下牧子、そして鈴木憲夫です)
来年からは明確に演奏会のCD化に取り組みます。
多くの方々に聞いていただければ嬉しいのですが。

今年の後半はいずみホールのバッハ「モテト」で幕開けです。
礒山先生からのお言葉は我々にとって大きな心の支えです。
これからもバッハの精神を追い求めつつ、我々のメッセージとしての内容であることを目指したいと考えます。

10月、11月は「大阪コレギウム・ムジクム」創立25周年を記念しての演奏会を企画しました。
久方ぶりの「ザ・シンフォニーホール」。演奏は予想通り、柴田のシアターピースにはうってつけのホールで響き渡りました。
私が指揮する合唱団の参加もあり、記念として、演奏会はいつまでも記憶に残るものになったのではないかと思っています。
東京公演でのカザルスホールではホールの狭さもあって響き作りに苦労しました。
シュッツ合唱団単独としの演奏会でしたが、「人間について」を演奏したことで我々の演奏史での大きな節目をつけられたのではないかと思っています。
さらなる歩みへと弾みがつけられそうです。

年末恒例の「クリスマス・オラトリオ」の演奏会は、当日券がなくなるといった状況になりました。
これまでも、沢山の方々に来ていただいている演奏会です。楽しみにしていただいているのが舞台へも伝わってきます。
団員も共に喜びを感じあえる演奏会です。
バッハとキャロル、そしてポピュラー音楽も今年は入れました。
あまり欲張らないで選曲をしていくつもりですが、より多くの方々と「クリスマス」を喜び合いたい!
選曲を苦慮するところです。

今年最後の演奏会はマンスリーコンサートでした。
福島教会での演奏は礼拝堂の作りもあって一層親密さが増します。
多くの会員の皆様に支えられての活動です。
来年は新企画と共にアンサンブル、合唱団とも新しいスタートの年となります。
マンスリーコンサートの更なる充実、これが来年の目標の一つでもあります。
来年はルネッサンス、バロックのものを増やす計画です。
新しい作品に挑むことは芸術活動にとって不可欠です。

今年一年、ご声援ありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。

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