第72回('01/4/27)

25年を振り返ります(8)

「シンフォニア・コレギウム・大阪」(森田玲子 編)

 Symphonia Collegium Osaka

Symphonia Collegium Osaka「シンフォニア・コレギウム・大阪」(旧名 アンサンブル・シュッツ)と改名した室内オーケストラです。そのコンサート・ミストレス(コンサート・マスター) 森田玲子との出会いを書いてみましょう。

今から26年前、私が通っていた大阪・淀屋橋の教会で始まった演奏活動
最初はフルーティスト、後にオーボエやヴァイオリン、チェロなどと共にバロック時代の室内楽が中心のアンサンブルでした。
やがて、レパートリーを室内オーケストラへと拡大、合唱団の成長に併せて本格的なアンサンブル作りが必要になりました。

オーケストラの要は何といっても「コンサート・マスター」、この人選が大切です。
しかし、なかなか気に入った方に巡り会えず、何人かに打診をしながらも最良の巡り合わせは実現しませんでした。

私の目指すオーケストラは先ず、はっしとして音を奏するメンバーでなければなりません。イントネーションが明確で、音楽は個性的なものを含んでいなければなりません。
「合わせる」だけが目的ではなく、自分の音楽として表現する意欲がなければなりません。
併せて、向上心に燃え、絶えず音楽に対して真摯に取り組む謙虚さと情熱が必要です。
そして、一番大切なこと、
その奏でる音楽が<私の作り出したいと思う音楽>と重なり合う部分がなければなりません。実はこれがなかなか難しいんですね。

彼女との出会いは「学校回りのオーケストラ」に始まります。
当時、指揮をしていたオーケストラにソリストとして彼女は登場しました。
少ない練習での合わせ、満足のいくものではありませんでしたが彼女の弾くヴァイオリンに一目惚れしてしまいました。
「これだ!」と思いましたね。
仕事としてのその演奏は余り巧くいったとは思えないのですが、何とかしてもう少し彼女の演奏を聴いてみたいと強く思ったことを想い出します。

最初、私が創ろうと思った曲はバロック音楽。それもバッハでした。
オリジナル楽器が台頭していた頃で、現代楽器に於いては新しい奏法(ボーイング)も含めた音楽作りが必要でした。
「言葉」を背景とした短いフレーズ(動機)による語りの奏法。
すべては、太く、大きくなった<音>への見直しが基本です。
ヴィブラートの過度による音楽感も取り払いました。
ちょっと誤解も招くかも知れませんが、モーツァルトを巧く弾くヴァイオリニストを私は描いていたかもしれません。(バッハとモーツァルトって結びつきます?)

とにかく、私は彼女のヴァイオリンに魅了されたわけです。そして私が創りたいと思う音楽への可能性を見出したのでした。
彼女を中心としたオーケストラの構想が決まりました。
今では、彼女の教え子たちが中心メンバーとなって弦を支えています。意志が伝わりやすいのもそういった事情によるでしょう。
少人数ながらよく響く弦だと評価を頂いています。そしてアンサンブル力もどんどん身につけていると思っています。

Symphonia Collegium Osaka「シンフォニア・コレギウム・大阪」と改名した室内オーケストラ。
彼女を中心として<広いレパートリー>を持つ<はっしとした>オーケストラ作りを目指したいと思っています。

メンバー紹介を兼ねたSymphonia Collegium Osaka「シンフォニア・コレギウム・大阪」(略称 SCO)のこと、もう少し続きます。

第72回('01/4/27)「25年を振り返ります(8)「シンフォニア・コレギウム・大阪」(森田玲子 編)」この項終わり。