第80回('02/10/7)

音楽の裾野を広げる

いつになっても演奏会での集客には頭を悩まされます。
演奏したい曲とそれを聴きたいと思っていただけるお客さんとのバランスに悩まされるのですね。
いわゆる需要と供給の問題です。

出演者が少なく、聴衆が多い演奏会は経済的に恵まれる可能性が大です。興行的に成功だと言えます。
出演者が多く、聴衆が少ない演奏会は経済的に成り立たない可能性が大です。興行的に失敗ということですね。

クラシックの聴衆は演奏会の数と比べると少ないと思います。特に関西ではどんどん狭まって、少なくなっているように思うのですね。
少なくとも聴衆の数に大きな「伸び」は感じられません。

私の主宰する演奏会は中規模から大規模の範囲のものが多いでしょうか。
室内合唱団で30人ぐらい。
室内オーケストラ(「SCO」)の編成にもよりますが、これが加わると50人ぐらい。
OCM合唱団、そしてオーケストラの編成では100人を越えます。
これに見合う聴衆となればやはり800人から1000人ということでしょうか。
これがなかなか大変なんですね。

毎月おこなっている「マンスリー・コンサート」は熱心に通って下さる方々の支えによって続けられています。
練習などの時間が取られてしまって、なかなか積極的な「集客活動」ができないでいるのですが、コンサート日を覚えていただいてよくお出でくださるのですね。
ただただ感謝です。
時折、宣伝に力を注いだ場合など沢山集まっていただき、嬉しい悲鳴を上げるなかなかの変化に富んだ「レギュラー・コンサート」です。

最近、合唱団での新入団員が増えています。
(私が京都で棒を振る「京都モンテヴェルディ合唱団」も団員が増えました)
喜ばしいことだと思っています。
団運営にとっては少し喜んでばかりはいられない事情もあるのですが、音楽界にとってみれば喜ばしい兆候だと思うのですね。

私の主張の一つに「体験主義」というのがあります。
体験を通じて「真の音楽愛好家」を産み出したい。
クラシック音楽の楽しみは<知識>に偏ってしまう面も持ち合わせているのですが、体験を通じ、音の「悲哀」を知ってこそ<知識>も広がって実体としての強さを持つことができると信じるのですね。

真の音楽愛好家を増やして、音楽の裾野を広げる。
さまざまな分野での活発な音楽活動が行われるよう、私もその及ぶ範囲で一端を担いたいと思っています。
聴くことは喜び、楽しみです。
演奏を通じて音楽する事もまた喜びであり、楽しみです。
入団をされた方々を通じ、演奏会においで頂いた方々を通じ、音楽によって出会った方々を通じ、音楽の喜び、楽しみをより広く伝え続けていくことができればと願っています。

第80回('02/10/7)「音楽の裾野を広げる」この項終わり。


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