7月24日 最近行った展覧会


すぐに書くと言いながら、結局20日も経ってしまった。相変わらずですみません。最近行った展覧会の感想などです。

●ソウルスタイル〜李さん一家の素顔の暮らし〜●(02.3.21〜7.16)

今年はW杯の共同開催に合わせて、日韓国際交流年(だったかな?)らしい。その一環として国立民族学博物館で開かれていた展覧会。

展覧会は二階に分かれていて、1階は現在の韓国の一般庶民の生活に触れてもらおうと、ソウルに住む李さん一家のアパートを再現、持ち物など全てが展示してあるのだ。

こりゃなかなか興味深い。日本の生活とかなり似通っているが微妙に違うところもある。どこが?て言われても困るが。
それにしても冷蔵庫には物が入ってるし、風呂場には洗濯物が干してあるという徹底ぶり。すごい企画だ。

2階には韓国の人の一生に関わる物が、出産、教育などのテーマ別に展示されている。こちらでは、日本と似ているところもあるにはあるが、やっぱり全然違う、と言うことを思い知らされた。

韓国では出産、成長、死亡などに関わる祭祀がかなり重要視されているようだ。そしてそれは家族を非常に大事にしていることにもつながる。ホントに家族が一番!って感じ(1階の李さんのアパートでもそれは感じられた)。普通に系図みたいな物も持っているようだ。
ちなみに韓国は土葬が基本で、国土をかなりの割合で墓地が占めていて、それが社会問題となっているらしい。家族や祖先を大切にする国柄では火葬はイヤなんだろうな‥‥。

そして兵役。これは韓国の若者にとってかなり深刻な現実。よっぽどのことがない限り逃れることは出来ない。兵役を期に別れてしまうカップルもよくいるそうだ。
男性は兵役から帰ってきて、はじめて一人前と見なされるようだ。事実、兵役が大人としての責任感を持たせているように感じられた。
韓国の現実は厳しい。いや日本も厳しいハズなんだけど‥‥う〜む。

テーブルの上に韓国の小学生から取ったアンケートがあった。好きな物や将来の夢についてなど。中に「日本について知っていることは?」という項目が。これがかなりすごい。
一番多いのはW杯共催。これは今のことだし当たり前だ。しかしこの他ほとんどが「竹島問題」や「壬辰の乱」、太平洋戦時の迫害、教科書問題についても書いている。
アンケートに答えているのは小学4年生。しっかり認識している。日本人が知らないこと、忘れてしまったことを、である。恥ずかしくなってしまった。
面白い答えもあったけど。「キンチをキムチと呼んでいること」だって。どうやら日本の「キムチ」の発音は違うらしいね‥‥。

他にも韓国の風呂屋(散髪屋とドッキングしてる!)、日本の漫画の韓国版、ハングル語教室なんかもあったりした。地下にはミニ韓国食堂でチヂミなんかも売っていた。
テレビなんかでも言ってたけど「近くて遠い国韓国」。その一端が垣間見れた様な気がした。
やっぱ一度は韓国にも行かねばね。そんな気になった展覧会でした。

●カンディンスキー展●(02.6.8〜7.21)

20世紀・抽象絵画の先駆者、ワシリー・カンディンスキーの展覧会。
この展覧会ではこの画家の一生における作風の変遷が垣間見れて面白かった。

最初は普通の写実的な風景画なんかがあるんだけど、ある時期から突然色使いが原色豊かになり、さらに構図なんかも崩れて、抽象的になっていく様がよくわかる。途中からは何が何だかわからない。

しかし私はわけがわからないなりに、何故かすごく意味があるように感じた。この辺がミロを最初見たときの印象と違うところ。パッと見ても落書きには見えないのだ(ミロファンの方、ごめんなさい)。
なんかバランスがある、世界があるのだ。一見無茶苦茶だが十二音技法で厳格な作りのシェーンベルクの音楽に通ずる物がある気がした(カンディンスキーはシェーンベルクの音楽会に行っている)。

この展覧会の目玉、大作コンポジションが2つ。これらはすごかった。
でかいし、綺麗だし、緻密だし、豪快だし‥‥。何か1つ欠けてもダメ。増やしてもダメ。絶妙なバランスと色使い。
解説を見ないと何が描いてあるのかはわかんない。でもイイ。何時間見てても飽きない気がした。
展示の仕方も良かった。大部屋にコンポジションが2つだけ。暗くて絵だけにライト。絵の雰囲気が良く伝わってきた。

戦時中の作品には、その暗い気持ちがよく現れていたと思う。抽象的な作風だけにモロに気分が出てしまうのだろう、と何となく思った。黒い線の多用。ただそれだけなのに。

展覧会が終わるまでに紹介したかった。是非行って欲しい展覧会だったのだが、また終わってしまった。申し訳ない。
私自身ももう1度行こうと思っていたが、いつの間にか終わってしまった。残念である。

●新・人体の不思議展●(02.3.21〜9.29)

この展覧会シリーズは大阪では3度目になるのだろうか?
わかってそうでわかってない人体の構造。それが生で見れる。しかも今回はさわることも出来るそうだ。

やっぱり人体はすごい小宇宙だ。見ていて思う。一番身近なのに、ほとんど見れないところ。
いちいち頷きながら見てしまう。「ここがこうなって、ああなって‥‥」とか考えちゃうのだ。
色んな組織の固まりである人体。素直に「勉強になるなぁ」とか思ったりした。

「さわれる」ってことだけど、あまり触っている人はいなかった。さすがにちょっと遠慮してしまう。
少しだけ触ってみたが、やっぱり「肉」だった。やはり人。不思議な感じがした。

献体して下さった方、その家族にはホント頭が下がる。医学などの発展のため身を捧げたのだから。
こんな私でも世の役に立ちたい、とは思うけど、さすがにこれは躊躇してしまうだろう。献体された方は立派だ。

タバコの吸いすぎで真っ黒になった肺や、酒の飲み過ぎでどす黒くなった肝臓なんかも展示されていた。
「これ見たら、誰でも酒やタバコをやめるよな〜」とか思った。ものすごくエグイ。
しかし夜にはすっかり忘れて、生ビールをあおっていたことは恥ずかしくてとても言えないことである(笑)。

私が書いたにしては珍しくまだやっている展覧会である。興味がある方は足を運ばれてはいかがだろうか。

以上、最近いった展覧会の感想などでした。
やっぱり次は11月の「大レンブラント展」!これが非常に楽しみである。また出かけて、感想を書けたら書いてみたい。

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