旅のお話その20〜時が止まった場所〜


竹内もです。
ほぼ一ヶ月ぶりですね。連載第二十回です。

松山町駅で市電から降りた私は、道を確認するためガイドブックを開きました。
そこで原爆落下中心地が目に付きました(平和公園もあったけど、そちらは何故か目に付かなかった)。
長崎に来たんだから寄らずばなるまい、と思い立ち寄ることにしました。
そして原爆落下中心地の原爆公園に足を踏み入れたのです。

その公園は大通りのすぐ横にあるにも関わらず、とても静かでした。
いや、そう感じただけかも知れません。人通りも結構あるし、観光客も多く訪れていました。車もたくさん大通りを走っています。
しかしその話し声も、エンジン音も、映画のフィルムのように感じられ、私が強烈に感じるのは、セミの声と強い夏の日差しだけでした。
時間の流れが止まっている、そんな印象を受けました。

原爆落下中心地は掘り下げてあって、真ん中に慰霊碑が建っています。その横には被爆当時の浦上天主堂の柱が移築されて立っています。9日を過ぎたばかりのせいか、花や千羽鶴がたくさん供えてありました。

リアルだ、と思いました。何が?と言われると言葉にしづらいのですが、凄まじいこと、恐ろしいことがこの場であった、ということを肌で感じるのです。
死臭が漂ってるわけでも無ければ、無惨な光景が広がってるわけでも無い。しかし人の死をリアルに感じた、そんな気がするのです。

しばらく公園のベンチに座り続けました。自分が止まると、さらに時が止まったかのような気分になりました。セミの声と日差しを、より強く感じます。

原爆公園

そして長崎原爆資料館へ行くことにしました。当初の予定には無かったのですが、やはりこれは寄らずばなるまい、という思いが強くなったのです。

原爆資料館は、公園横の通りから階段かエレベーターで昇った所にあります。
普段なら階段で行くのですが、足のマメが痛かった私は、エレベーターを使う事にしました。
エレベーター乗り場の一階部分の所にひっそりとあったもの。私はそれを忘れないでしょう。

続く。(あぁっ、年内に終わらない‥‥)

99.12.30

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