1つめについて、まず書きます。
それでも、私は、デジタル教科書へ移行することによって、
後にも書くようにいくつかの欠点があると考えています。
欠点をうまく受け止め、それを補助するシステムが必要だと考えています。
まず、欠点について考えるために、次のことを取り上げておきたいと思います。
「キーボードを打つことによって、記憶は定着できるのか」
つまり・・・
まだ、パソコンを用いた教育システムが浸透したことはない。
その現実を、現場の先生の保守性に求める意見も、個人的に聞いたことがあるが、
私は、「パソコンの持っている機能」と「教育という営み」に、
水と油のような関係もあるからだと考えている。
正直、私も自分の勉強の場にパソコンを導入しようと考えたことがたくさんあるが、
初めは便利だと思っても、実際にはなかなかうまくいかないことが多い。
ここでは、少し「デジタル教科書」から離れて、
「キーボードを打つこと」と「学習」について書いてみようと思う。
文字が一般的になる前は、知識の伝達・学習は、音声で行われていた。また、映像で行われていた。
それに慣れた人は、文字を通じて知識の伝達・学習することが難しい。
実際に現代でも、テレビなどに慣れすぎて、文字を通じて学習することが苦手な人たちがいる。
あれは、その人が怠けて文字を読み飛ばしているのではなく、「文字を通じて学習する訓練ができていない」だけであろう。
そこで、私が大変興味を持っている命題は
それは例えば
である。今のところ、私は、キーボード打ちをした方が記憶に残りにくい、という結論を持っている。
私が、小さい頃からキーボード打ちでノートをとり、定期テストの勉強をしていたら、もう少し、記憶にも残りやすいだろう。しかし、本質的に紙と鉛筆の方が、記憶に残りやすいと思っている。
キーボードを打つ、という操作による学習はいくつかの利点がある。たとえば
など。
しかし、これら長所のうち
ことを意味する。紙と鉛筆ならば、書くだけで覚えられたことも、キーボードを打つだけでは覚えられないことが多々ある。しかし、私が感じる最も大きな欠点は
であることにある。なぜ、キーボードの下から3段目、左から2番目のキーを押すと「あ」(ないし「A」)と表示されるか。なぜ、こんな曲線(ないし線分)が表示されるのか。自分の体のどこも、そんな曲線や線分を描く運動をしていない。
正直なところ、私はこの齟齬が今でも少し苦痛である。
脳は、デジタルにはできていない。デジタルな物を入れるには、脳のどこかで変換をしないといけない。それが、紙と鉛筆の場合は必要ない。
これが、「キーボードを打って学習する」ことの欠点であり、今でもコンピューターをいっさい触れない人が一定数存在し、多くの人が「コンピューターは苦手」と言う原因ではないかと、私は感じている。
以上をまとめます。
私の考えでは、デジタルは、脳からのアウトプットには大変適していると思います。
文章が頭の中でまとまってから、それを実際に文字として書き出すまでが、
デジタルならば格段に速い。修正も容易。
一方で、脳へのインプットに対しては、デジタルは得意不得意があると思います。
視覚的なイメージをインプットするのは大変得意。
文字情報をインプットするのは苦手。文字情報を脳へインプットするには時間がかかるから。
物事と物事のつながりをインプットするのは、どんな「つながり」なのかによる。
たとえば、「円」という一言から、全科目の教科書を検索する、
そうすると、様々な「円」が表示され、これは素晴らしい教材になるでしょう。
つまり、「単語」でつながったつながりは、容易。
一方、「似ている」ことによるつながりをインプットするのは、
デジタルは苦手だと思う。何を持って「似ている」とするのか。
これは、地道に文書内にリンクを張っていく必要があり、
教科書作成側から見れば、そのリンクの張り方が、教科書の「個性」になり
教科書を読む子供からすれば、そのリンクの張り方が、自分の学習の「個性」になっていくと思う。
最後に、結局、デジタル教科書は教育を変えるだろうが、
本質的な部分はデジタル教科書とは別のところになるだろう。
サボる子は・・・
これは当たり前のことだが、忘れてはいけない。
結局は、「デジタル教科書」をいかに利用していくか、それに尽きる。
ただ、紙の教科書よりもデジタル教科書の方が、表現できる幅は断然に広い。
この「表現できる幅」をどれだけ具現化できるか。そこに、責任ある大人の業が注ぎ込まれていけば、そう思います。
私は思うに、デジタル教科書には「現在の画面を紙に出力する」という機能が
必要とされるのではないかと思います。
ただ、この機能には、出力枚数の制限などを定めた方がいいでしょうね。
この制限は僕が大学生の時にもありました。一日○○枚、一ヶ月○○○枚、のように。
じゃあ紙の消費量は増えるか減るか、と言われると、
たとえば「保護者への連絡」とか「計算だけの宿題」などは、
紙で出力されないでしょうから、紙の消費量がある程度は減ると思いますが。