つれづれ

2011年2月末の京都大学の入学試験について、aicezukiなる人のカンニングで世の中が騒がしくなっています。

しかし、この京都大学の入学試験では、カンニングよりももっと私を驚かせた事実がありました。
それは、この入試の数学における、問題の激しい易化です。
この易化具合はある意味で革命的であり、私は、京都大学の入試担当者からの強烈なメッセージを感じました。

誠に私の勝手な推測ですが、今回のカンニング騒動によって、自らのメッセージが埋もれてしまっていることを
京都大学の入試担当者は残念に感じていないだろうか。

そこで、(誠に勝手な解釈ではありますが)そのメッセージを代弁するべく、
私なりに、この問題から感じたメッセージを書いてみようと思います。

世の中、ちょっと他とは違った視点の文章もあったほうが面白いかと思いますし。

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【注意】2011年度の京都大学入学試験(数学)を予備知識無しで解きたい人は
解いてから以下を読んで下さい。各問題の内容について具体的に言及しています。
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はじめに

普通、大学の先生は高校生を教えません。
だから、大学の先生が「これなら簡単」と思って出題したが高校生には難しかったり、その逆がしばしば起きます。
しかし、今回の問題はそういうレベルではありません。

この入学試験の問題は、理系の大問5を除き、国公立大学への進学を目指す高校の定期テストで出されるのに、ふさわしい。

ただし、定期テストの場合はたいてい「この問題集のここから出る」と伝えられ出題されます。
大学入試ではそうではありません。ですから、単に「定期テストレベル」と言っても、受験生にとっては印象が異なるでしょう。

とはいえ、です。

問題について1問ずつコメントしようと思います。

文系の問題について

理系の問題について

勝手に予想した、この入試問題に込められたメッセージ

では、実際にこの入試問題を、受験生はどれくらい解けるのでしょうか?

私が思うに、文系も理系も、受験生は意外と解けていないと思います。
さすがに、平均得点率は半分を超えるだろうけれど。

もちろん、時間を掛ければ多くの受験生がほとんどの問題を解けるでしょう。
しかし、いつもできればテストができるかというと、そうは甘くない。
実力が、きれいに点数に反映されたのではないかと、私は予想します。

そして、京都大学の入試担当者は、そのことが分かってこの問題を出題したと、私は思います。


京都大学の入試担当者は、実際に入学してくる学生の実力を見極め、
教科書レベルの問題を出すのがちょうど良いだろうと判断したのではないだろうか。

難しい込み入った受験テクニックを身につけて入学した学生が大学の授業をまともに消化できないことに憂慮し、
「受験テクニックは要らないから教科書の問題を解けるようにしてくれ」
そういうメッセージを発したかったのではないかと、私は思います。

私が「易化具合が革命的」とまで書いたのは、このメッセージは
今の大学入試のやり方に対する問題提起を意図しているのではないかと感じるからです。
受験テクニックで対応できる程度のやり方で、これからの日本は大丈夫なのか?

考えすぎかもしれませんけれども。
または、受験テクニックの弊害はわりと普通の主張なので、もっと重大なメッセージが込められているかもしれませんけれど。

いずれにせよ、日本中の秀才が集まる大学の数学の入試問題で、理系でも文系でも、教科書レベルの問題が多数出題された事実は
もっと広く世の中で知られるべきではないかと私は思いました。


大学受験の数学から離れている方々には意外に思われるでしょうが、
難しい問題ばかり解いている学生は、意外と、教科書に載っている基本問題が解けません。
なぜか?
普段解いている問題と違うからです。

普段は難問ばかり見ている人には、数学の問題を解くときに使っている思考回路が、使えなません。
そこで基礎がきちんと分かっていれば、すぐに軌道修正できるが、
難問にケースバイケースで対応しているだけの生徒は、手が出ません。


京都大学の入試担当者は「基礎でいいからきちんとできていてくれ」と意図し出題しました(と私には感じられる)。
しかし、基礎がない一学生が、カンニングで他人に解答を聞きました。
聞いた問題は教科書レベルの問題。

ちゃんと、入試担当者の意図(と勝手に私が感じている内容)には反しない結果になりそうだから、良かったのじゃないでしょうか。
しかも、大学入試のあり方についての議論が、入試担当者の意図(と勝手に私が感じている内容)よりもずっと広範囲で行われるようになりますし。

カンニング問題については、これ以上は深く突っ込んで書かないことにしようと思います。


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