1997/5/1
<モテットの本番を終えました!>

(今回の担当:Sop倉橋史子)

「モテット」の演奏会が終わりました!
最高に楽しかったです!このひとことに尽きます!

京都での演奏会では、過去最高の318人のお客様に来て頂きました!これは本当に嬉しい事です。たくさんのお客様に聴いて頂くのが嬉しくて、そしてバッハが歌える事が嬉しくて、私達はノリにノってしまいました!
今日はその報告です。

まずはリハーサルの話からです。
リハーサルから結構大変だったのです、というのは、小林義武先生のプレ・トークの時、合唱団が先生の解説された部分(各テーマやフーガ部分など)を歌うという打ち合わせから始まったのですが、いきなりその部分だけ歌うというのは想像していたより、やっかいで「これって、難しいやないの!あらまあ!」と内心はらはらモンでした(皆はどうだったのかはわかりませんが)。「パート」が裸にされていきなり歌うのは、歌い込んできた曲のはずなのに、想像以上に難しかったのです。正直な話、本番でも緊張してしまいました。
あと、少し悩んだ事はホールでの立ち位置です。 今回のアルティ・ホールは、木作りで響きがとても自然でクリアなのです。 演奏者にとっては無駄な力を必要とせずに演奏でき、その上、スタッフの方々のお仕事ぶりも良くて、私達が非常に気に入っているホールの一つです。
しかし今回は少しだけ大変だったのです。何が大変かというと、曲によって編成や人数が違うので、ホールでの「立ち位置」を決めるのに、いつもより頭を悩ませました。
“ベストの音”で聴いて頂く為に、私達はリハーサルで、“いい音”の「立ち位置」を、念入りにチェックして決めます。大体のホールでの「立ち位置」というものは、最初から決められた位置というものがあるのですが(特に「合唱用」と言われる「動かせない雛壇」なんかがあって、苦労します)私達は規定の位置で歌う事は、あまりしません。
いい音の位置が見つかるまで耳と目で探して、慎重に決定します。今回は二重合唱という事もあって、二重合唱の効果が出る様にと、とても変則的な並び方で演奏しました。 (何か変わってるなあ?と不思議に思われたかも知れませんが、これには、こだわりがあるのです)
内声が前列になったり、V字に並んだり、二列になったり三列になったり、離れたり寄ったり、と開場時間のホントにぎりぎりまでリハーサルをしました。
長時間にわたるリハで頭がボーっとなり、皆「頭の中がややこしいよ〜!」という心の声がし始めていたと思うのですが、リハの最後に当間先生が、全員を集めて「僕も今、頭がボーっとしているけれど、演奏会は2時間!あれだけ練習してたったの2時間!この2時間の為にどれだけ時間を費やしたのか考えて欲しい。最後までボーっとしたままこの2時間終わってしまったら今までの時間が全部無駄という事になる。皆でバッハを楽しもう!そして楽しんでもらおう!その為には顔を上げろ!それで間違えてもかまわない!譜面にかじりつくと暗くなる!楽しそうには見えないよ!」との一言で団員は引き締まり(何と開場5分前!)、ダッシュで御飯を食べて30分後に演奏会が始まりました。
プレ・トークでは、小林先生の解説に合わせて私達は主だったテーマやフーガを歌い、お客様は熱心にプログラムと照らし合わせて、うなずかれていました。
一見(?)とても専門的な内容でいて、しかし知って聴くと、もっと面白い!
バッハはそんな音楽だと、私達も再確認。しかしひとたび歌い出すと、そんな余裕は持たせてくれない!「必死の巻き!」にならざるを得ないのが、バッハの音楽なのです。
6番(これは各パート4人〜5人、キツかったです!)、4番、5番(この曲のみア・カペラ)、2番、とプログラムは進みます。一曲一曲、微妙に「立ち位置」が違うのとメンバーが入れ替わるのとで、頭の中が混乱しそうになりながらも、どの曲もノリが良く、“いい手応え”で演奏会は進んで行きました。私個人としては5曲目を歌っている時、とても幸せを感じました。
休憩を挟んで、BWV118、3番と続き、今までと違う「Jesu,meine Freude」のメッセージが出せたかなあと感じています。そして全員で歌い上げた1番! この日、当間先生は最初からずっと、最高にいい笑顔で指揮台におられました、が、ちょっといたずらっぽい表情が覗いたかと思うと、そう!来たのです。怒涛の様な‘ウルトラC’のテンポの「ハレルヤ」が!!
団員は「そろそろ来るか来るか・・・ホントに来るのか・・よし来た!」という感じで、最後まで一気に駆け抜けました!今回の演奏会の絶頂の瞬間!実に楽しかったです!
最高にノリまくってのフィニッシュでした! 割れんばかりのお客様の大拍手と笑顔に「歌ってよかった!」と幸せな思いが胸に満ちました。

打ち上げ会には小林先生も来て下さり、皆心なごんで、楽しい乾杯の時を過ごしました。このコンサートに向けて頑張った「宣伝担当部隊」の人やCD制作のスタッフをねぎらっての、美味しいお酒となりました。
当間先生からのコメントは「やはり自分はバッハが大好きだという事を再確認した。演奏者がバッハより偉くなってはいけない。小林先生の前で失礼だけれど、学者がバッハより偉くなってはいけない。皆、謙虚にならなければ。バッハは知と肉の音楽だと思う。」小林先生からは今夜の演奏の出来を褒めていただき、「合唱団とこういう形で仕事を一緒にしたのは、実は初めてで、緊張された」という話(私達には、わからなかったのですが)。それから「演奏者と研究者がこういう形で、仕事をする事がベストだと思う」というお話を頂きました。あとバッハに縁のある町の話やお気に入りのドイツの町について伺ったりして、京都の夜は盛り上がりました。

今日は日誌でお伝えしたい事が山ほどあって、でも疲れで頭は回っていなくて、うまく表現出来ていませんが(すいません)、多くのお客様に聴いて頂けた事、それも若い人達(大学生)が多かった事も私達にとって嬉しい事でした。
次の世代にバッハを伝え残していって下さるのは、きっと今の若い人達でしょう。 その若い世代に来て頂けた事は、本当に喜ばしい事です。
客席で輝いていた、たくさんの顔が忘れられません。

バッハは、私達にまた新たなる何かを与えてくれた、そんな貴重な演奏会でした。
バッハは最高です!歌える機会を持てた私は、幸せ者です。
今度バッハを歌うのは、この夏ドイツにおいてです。それまでの間、また練り直そうと思っていますが、少なくとも1番の「Singet〜」は全員で歌える様になったのですから、これは私達の貴重な財産です!
最後に、御来場頂いた多くの方々、本当にありがとうございました!


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