2001/8/31
<〜邦人合唱曲シリーズへのお誘い〜>

(今回の担当:BASS.竹内 幹)

みなさん、こんにちは。
今日は約一ヶ月後に迫りました「邦人合唱曲シリーズVol.7」のご案内をさせて いただきます。今年で7回目となったこのシリーズ、今回も盛り沢山の内容でお届け いたします。
それでは演奏する曲の紹介をさせていただきたいと思います。

今回はこれまでシュッツ合唱団でもたびたび演奏してきました鈴木憲夫氏の作品 か ら、3曲演奏いたします。
まずは『高原・イーハトーヴ』から。
昨年の秋に初演されたばかりで、比較的新しい作品です。 「高原」や「星めぐりの 歌」などのテキストを使って、宮澤賢治の世界を構築し ている作品で、少し短めで 無伴奏の曲。何となく爽やかな印象を受ける曲です。
どうでもいい話ですが、歌詞の中に「ドリームランド」と言う言葉が出てきま す。 関西人の性か歌詞だけ読んでると、つい「奈良ドリームランド」が頭に浮かんでしま うのですが、歌ってみるとアラ不思議。鈴木憲夫氏の旋律と和音にのると、頭に浮か んだものは吹き飛び、美しい言葉となって飛んでいきます。鈴木憲夫氏の魔法とでも 申しましょうか。

それから『永訣の朝』です。
合唱をやっておられる方ならご存じの方も多いかと思います、名曲中の名曲で す。
最愛の妹トシがみぞれの降る朝死んでいく‥‥宮澤賢治の悲しみと祈りの感情 が、怒濤のような音楽となって流れ出てきます。演奏中堪えきれず涙が溢れてきて、歌えなくなることもあるように、感情がすごく表に出てくる作品です。
シュッツ合唱団でも何度か演奏していますが、今回は決定版とでも言えるような 演奏になると思います。ご期待下さい。

そして『地蔵礼讃』。
書き上げるのに5年もかかったという大曲で、詩は鈴木憲夫氏自らの手によるも のです。
村のはずれにある地蔵、時の流れの中でただの石へと化していく。その悠久の時 の流れの中で、積み重ねられていく人々の地蔵への祈り‥‥。
中間部に地蔵への祈りの言葉「オンカーカーカビサンマエソワカ」がひたすら繰り返される箇所がありますが、それは人々の素朴な願いが積み重なっていき、やがて切なる祈り、叫びとなっていく様をあらわしているように思います。
難しく見えるのでしょうか、1982年に作曲されたのに、まだ4,5回しか演奏さ れていないそうです。今回の機会に是非聴いてみて下さい。

また、千原英喜氏作曲の『おらしょ』も演奏いたします。
シュッツ合唱団では昨年の現代音楽シリーズ、今年の神戸公演に続く3度目の演 奏となります。 江戸幕府のキリスト教禁止政策の下、迫害されつつもキリスト教を密かに信じ続 けた「かくれキリシタン」達。その信仰形態は潜伏生活と共に変遷していったが、祈 りそのものはなんら変わることはなかったことでしょう。
そのかくれキリシタンの祈りの言葉「おらしょ」を題名としたこの作品は、かく れキリシタン達が実際に歌っていたオラショ、その元となったキリスト教伝来当時の グレゴリオ聖歌、虐げられたキリシタン農民達が歌っていた民謡などを題材にかくれ キリシタンの世界をつくっています。かくれキリシタン達の祈りをイメージした、幻 想的な作品です。

2人の邦人作曲家による様々な祈りの世界、是非聴きに来て下さい。
皆様のご来場をお待ちしております。


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