Ich liege und schlafe und erwache SWV 310

Basso, basso continuo
バスと通奏低音

作品9-5〔新全集10(1)〕

Ich liege und schlafe und erwache, 身を横たえて眠り、わたしはまた目覚めます。
denn der Herr haelt mich. 主が支えていてくださるからです。
Ich fuerchte mich nicht わたしは恐れません、
fuer viel Hunderttausenden, 千万の民が
die sich umher wider mich legen. わたしを包囲して立ち構えても。
Auf, Herr, und hilf mir, mein Gott, 立ち上がってください、主よ、わたしをお救いください、わたしの神よ、
denn du schlaegest alle meine Feinde auf den Backen すべての敵の顎を打ち
und zerschmetterst der Gottlosen Zaehne. 神に逆らう者の歯を砕いてください。
Bei dem Herren findet man Hilfe, 主のもとには救いがあります、
und deinen Segen ueber dein Volk, Sela. そして、あなたの祝福があなたの民の上にありますように、セラ。
(Psalm 3, 6-9) (当間訳:詩編 3. 6-9)

【解説】当間

「クライネ・ガイストリヒェ・コンツェルテ」中、唯一のバス独唱用の曲です。

静かな、長い時価の音符で表現された眠り。唐突に3拍子に変わっての対立する目覚めの動機。

この目覚めの動機が5度音程によっています。

早口で語られる多くの人々による包囲。雄々しく歌われる<顎を打ち><歯を砕く>に用いられる装飾音。

一転して救いを求める祈りが4度の下降音程によって支配されます。

敵(毒舌家)に囲まれた作者が救いを求めて祈る迫害時の「朝の祈り」の詩だと云われています。

「セラ」の意味はいまだに解明されていません。(一説には、詩編が歌われていた頃の「歌唱用」指示であると考えられてるようです。調子をあげる、歌声をあげる、音色を変える、という意味もあります)いろいろな説があるのですが、付けられた音楽からシュッツはこの「セラ」という言葉の意味を「いつものように」「そうでありますように」と捉えて、「栄唱」の意味を含んだものとしたかもしれません。(フランシスコ会「詩編」を参照)