No.639 '07/08/20

「賢治」縁故の方々


以前から取り組みたいと思っていた「宮澤賢治」。
彼の詩に魅了された数多くの人々。その中の一人である私も強く「賢治」に惹きつけられてきました。
いつも奥深くの脳裏から語られているような気がしていたのですね。
それも繰り返し、繰り返し、ある時々に現れます。

「賢治」の魅力を探りたい。今年、それが私の「宮澤賢治年」となりました。
5月に引き続いての花巻訪問です。

今回、幸いなことに(感激といっていいでしょう)「賢治」縁の方々にお会いすることができました。
これはOCM合唱団員である松岡さんが私の花巻行きを聞き、知人である清水宏一さんを紹介して下さったことに始まります。
清水さんは花巻商工会議所専務理事(今年退任されました)をお勤めになった方、有り難くも松岡さんの手紙を読み既に市長や関係団体、会館等に私たちのチラシ紹介し、置いて下さっていたのでした。

花巻の二日目、清水さんとJR花巻駅近くにある「林風舎」で待ち合わせ。
「林風舎」のオーナーは賢治の弟さんである清六氏のお孫さん宮澤和樹氏です。
お店には既に私たちのチラシは置かれていて、一緒だった団員たちも嬉しそう。
清水さんがオーナーと引き合わせて下さることとなり、お礼とこれからのお願いもあってお会いさせていただきました。

宮澤和樹氏&清水宏一氏と

「林風舎」の二階、喫茶室での写真。 (左)清水宏一氏、(中央)オーナー宮澤和樹氏。

後ろの賢治肖像画と和樹氏がどうしても重なってしまう私。ちょっと不思議な感覚でした。

下の写真は肖像権のことなど私も賛同するお話を受け、打ち合わせをしているところでしょうか。
和樹氏とお会いでき、そして「賢治」のお話しを伺えたのは本当に良かったです。私にとって最も重要なことを和樹氏からこの時伺うことができたのですね。
私がずっと疑問に思っていた回答かもしれません。全てが解決する程の「話し」でした。
その中身はここでは控えましょう。(笑)
いずれまとめて書きますからね。(笑)

打ち合わせ

次に清水さんは「産湯の井戸」を案内しましょうと言って下さる。
その場所は賢治縁の「宮澤商店」の中。(賢治の母の実家であるここで賢治が生まれました)
そして社長であり、現花巻商工会議所会頭の要職に就いておられる宮澤啓祐氏も紹介しましょうと言われる。
あれよあれよと、「賢治」縁の方々にお引き合わせいただいているということになってしまったのですね。
宮澤啓祐氏は賢治の母方の子孫にあたる方。

宮澤啓祐氏と

花巻商工会議所会頭・宮澤商店社長 宮澤啓祐氏と。

話しでは、賢治さんによく似ているということです。
そして私には特に「声」が気になりました。
張りのあるその「声」(謡曲をお習いになっていたと聞きました)、「賢治」にそっくりなのではないかと?
そう思わせるものを感じます。
まぁ、普通に考えても骨格が似ていると声も似ます。また一族ではよく似ていて間違われることもあるとか、と話されていましたからそう見当外れでもないと私は思っています。

同行したメンバーと「産湯の井戸」を囲みます。
現在まで使用されていたようです。私も飲んでみました。柔らかい水でした。
この水を汲み、産湯として使われた。「賢治」の息づく場所はまだまだ健在でした。

産湯の井戸

普段はお見せしていないという奥の池まで案内していただきました。
生活用水でもあったと説明を受けているところです。
色々な物を洗っていたそうです。

奥の池

一段と賢治の世界が身近になっていきます。
今回の花巻訪問は大きな意味を持ちました。
私の中の賢治像がはっきりと見えてきています。
これで音楽作りも変わることでしょう。

今年は私にとっての「宮澤賢治年」だとして、9月10月と集中して演奏しますが、この訪問を通じ、一生のテーマとしてまだまだ続いていくようです。

賢治の詩は朗読する。
声を出して読む、これが賢治の詩を味わう最良の方法です。
私は読むごとに心の底から湧き上がってくるエネルギーを感じます。
賢治の力強さ、優しさ、一途さが私の中の「何か」と呼応していくのが好きです。
人としての悲哀を知り、その中にあり、その現実と根っからの明るさから出て来る力強い「言霊」は深淵です。

三日間における「花巻」、大きな出来事でした。

No.639 '07/08/20「「賢治」縁故の方々」終わり