No.688 '12/01/16

「三重大学合唱団定演」客演


客演の依頼で「三重大学合唱団」を振りました。(2012/1/14〈土〉)
この合唱団のことはコンクール時の印象が強くあり、気になっていた合唱団の一つです。
依頼があった時はスケジュールが合わなく、三団体で調整をして貰っての実現化でした。
後で知りましたが、私への客演依頼はこの合唱団のメンバーが私を指名したことにあったそうです。
残念ながらその学生は今はいませんでした。亡くなったそうです。
その学生は私の「合唱講座」を受講して、是非にと思ったそうです。送り迎えを車でしてくれた学生からこの話を聞きました。
一枚の写真を見せてくれました。・・・・受講時の彼のことを思い出しました。
話によると、私との出会いでそれまで彼が抱いていた発声の問題が解決したこと、そして初めて自分のことを認めてもらえ、先が見えたのが嬉しかったと、そう言っていたそうです。
聞きながらとても嬉しい気持ちと、今、ここにいない寂しさ、そして少しの悔しさを感じました。私が来るまで生きていて欲しかったと胸が痛みました。


合唱団はコンクールでの印象と変わっていませんでした。初めて練習に行ったときそう思いました。
実力がありそうなのにうまくまとまりきれていない。声もハモリももう一歩の所でとどまっている。歯痒い思いです。
私のスケジュールを調整してもらって何度かの練習日を取りました。楽しみでした。アドバイスを通じてあの歯がゆさをどこまで改善できるか。
学生たちの要求でその練習がコンクールのアドバイスに(後でしりましたが、これまで以上の賞を頂いたそうです)。基本的な音楽様式や合唱づくりのためのポイントなどを教えたいと思っていたのですが、出鼻をくじかれたというか、学生たちとの意識の違い、ギャップを少し感じたものでした。

結果的に言えば、私の振る千原英喜「雨ニモマケズ」の練習は私の思うほどの時間が取れませんでした。
心配する私でしたが、印象や練習を通じて感じていた彼らの集中力や音楽を楽しむ(好き)気持ち、その思いがどこまで歌に現れるか、それにかけてみようと思いました。
そして迎えた前日での練習。
よく練習していたと思います。まぁ印象なのですが(確かめるのを忘れました)私の練習時よりも団員の数が多いのでは?
決してそのことが原因ではないと思いますが、また歯がゆさを感じたのですね。もう一度言っておくのですが、よくもこの短い時間で練習をして歌えるようになったと感心する団です。しかし・・・・後もう一歩が。
ちょっと音楽を止めて熱く喋ってしまいました。「私を呼んだのだから、それだけの演奏をしてください」「やりきったと!と言えるような燃焼した演奏をしてください」と。
彼らたちの《顔が変わった瞬間》です。
本番は皆と目が合いました。真剣に対峙した瞬間の連続。指揮によく応じてくれた演奏となりました。泣きながら歌っている学生、素になって真摯に歌っている人、緊張ながら自信ありげな頼もしい顔、楽しいそうな顔、嬉しそうな顔。

いましばらくお待ち下さい

学生たちとの演奏は面白い。そして楽しい。若い人たちと接するわけですから色々あるわけですが(笑=ニッコリでしょうか)。

良い演奏になったと思います。

上の記念写真は同行の田坂悦子が撮ったものです。私も真面目に座って花束持って座っています。いつもある大学定演での光景ですが、今回はひと味違ったものになったかもしれません。
私を呼んだ《彼》も喜んでくれたでしょうか。返す返す彼に会えなかったことが残念です!



No.688 '12/01/16「三重大学合唱団定演客演」終わり