第3回

音楽作りのポイント

私が練習時に行っている「音楽作りのポイント」、あるいは秘訣といったものをここに公開します。
先ず、音楽作りの基本はスコアを見ることから始めます。
「見る」と言うことは、まだここでは「読む」ことではありません。
絵画を鑑賞するかのように、全体を絵として眺めてみることです。音符が密集しているところとそうでないところのコントラストを見つめます。旋律線のうねりがどんな形をとっているか眺めるのです。良い作品ほど構図的にも面白いものです。この最も優れたものの例の一つとしてバッハの音楽があげられます。
彼のスコアからは絵画的な面白さ、素晴らしさが溢れています。一度手にとってこの観点から見ていただくことをお奨めします。
作品の全体を大雑把に掴むことが大切です。この時、作品の特徴を知ることになります。
レコードやCDのような録音を参考にしている人をよく見かけますが、この件に関しては、私はこの初めてスコアを開いたときと、スコアを勉強し終わった時に聴く二回を推奨します。(聴いて覚えるのはあまり感心しません)
勿論、この二回というのは厳密な回数ではありません。何回聴くかではなく、どの機会に聴くかの問題です。
さて、こういった勉強法の本質は大切です。すなわち、始めから細かい所にこだわりながら進めていくのではなく、大きく捉えることから始め、小さな項目へ進めていく。そしてその行程がいったん終わると、今度は小さな項目がどうより大きな項目と関わっているかを考えながら全体のイメージを構築していくかという方法です。これが大事なのです。

それでは順追って書いていくことにしましょう。

  1. 作曲家の人物、活動期の時代背景、傾向などを調べます。
  2. 「歌詞」の意味、出典、時代背景を調べます。
  3. 曲の特徴を掴みます(ポリフォニーかホモフォニーか?形式は?等です)
  4. 全体を構成するための大きな段落を見つけます。(意味内容の転換、転調、休符等によって示されることが多いです)
  5. フレーズを探し、小さな単位別に区切っていきます。
    上の二つは相互に行います。
  6. ピアノなどで音を確かめながら、メロディー、ハーモニーを見ていきます。
  7. テンポのチェックです。
  8. ダイナミック(書かれてある強弱)をチェックです。
  9. アゴーギクの有無とその用いる程度のチェックです。
  10. アーティキュレーション(音と音の間の切れ方。レガートからスタッカート間には無限大の結び付け方があります)を決め、整える。
  11. 各パートのバランスを整えます。
  12. 全体を通した時のテンポ設定を最終チェックします。
  13. 自分のイメージに近づけるよう練習に臨みます。

練習時における幾つかのチェックポイントです。

  1. ピッチが正しく保たれているか
  2. フレーズの終わりが遅くなりすぎてはいないか?またピッチが下がっていないか?
  3. テンポの変わり目が巧くいっているか?(どの音が前のテンポでどの音から新しいテンポになるのか?)
  4. 発声が統一されているか
以上のことをチェックして音楽作りをすればすっきりとした安定した演奏となるでしょう。
後は合唱団と指揮者の個性で味付けをします。勝負は決まった、といったところでしょう。

この「合唱講座」は上に書いた各項目を細かく説明しようとするものです。
範囲が広いので膨大な量となるでしょう。
始めは月一度の更新をと思っていたのですが、これでは終わりが何時になるかわかりません。月二回の更新としました。


【戻る】