第11回

声帯のはなし・いろいろ

声に関することを少し角度を変えて書いてみましょう。
赤ちゃんが産まれた時発する「産声」は万国共通で440ヘルツ「ラ」の音だそうです。
オーケストラのオーボエによる音合わせがこの「ラ」の音であることもこのことと関係有るでしょうね。
その赤ちゃんも3歳時になると、音域は一オクターブ下がったところまで広がります。
そして小学校入学前後になると、子供の声はいちおう完成。
fから2オクターブ上のfまでの音域になります。
電車などで子供達の集団に出会うと大変ですね。それこそかん高い声によって騒々しい空間と化してしまいます。
その子供達、大人へと成長する過程のなかで「声変わり」がおこります。
いちおう女性も「声変わり」があるのですが、男声ほど顕著ではありません。
「声変わり」が終わっても(変声期が終わったかどうかはファルセットが出せるかどうかで判断します)声はまだ成長し続けます。
20代半ばまで喉頭は少しづつ発育し、24〜25才で軟骨が固まってくるのだそうです。
そして40才代が最も安定した一人前の声楽家になるというわけです。

皆さんの一日のしゃべる時の「ピッチ」がどんな風に変化しているかご存じですか。
5年程前にシュッツ合唱団でアンケートをとったことがあります。
朝起き立ての時、そして昼間および就寝前、話し声の「ピッチ」を記録してもらいました。
結果は以下のようになりました。
朝は低く、昼間は高く、夜は昼間に比べて少し低くなるということでした。
一人一人正確に音名を書いてもらいました。パートごとによって若干の違いはあるものの、パート別に似かよった特徴がみられます。
ある人はそのピッチの幅が4度になると報告したものもありました。
体が活発化している昼間などは高くなっていますね。それに人に接した場合の緊張感などでも声は高いピッチをとるようです。
そして一日の終わり、疲れた声は眠りを待って休息の準備。声は低くなっていきます。

皆さんも一度、一日の声の高さを調べてみませんか。
声は健康のバロメーターですね。
張りのある声、かすれた声、潤いのある声、その他様々な形容詞を伴う声があるわけですが、声の高低による違いに気がつけば、きっと新たな発見があると思いますよ。


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