第31回('98/6/24)

<アヴェ・マリア>2.

前回より続きます。
前回を第一部としましょう。
今回説明するところが第二部です。

ソプラノがなだらかな線を描きながら(順次進行)、fを頂点とする「山」を形作っていますね。ですからここでの歌い方はクレッシェンド、ディミヌエンドの<>というニュアンスです。始まりのcの音と頂点のfは4度の隔たりだということも意識しましょう。(つまり4度音程)

このソプラノのメロディに6度下のアルトの旋律が寄り添います。

合わさった高声二部(sop., alt.)の響きは6度の響きです。これ大事ですね。
覚えていますか?6度を。
そう、これは<ルネッサンス音楽の特徴である6度>です。イギリスのジョン・ダンスタブルが用いたフォブルドンの響きです。(3度は省かれていますが)
練習は徹底的に6度のハモリを体得しましょう。そのためには試しにソプラノをオクターブ下げて、3度の響きも感じる取ることも良い練習になるかもしれません。

この後、低声部(ten., bass)がそっくり模倣します。

高声部と低声部の対比、なかなか憎いですね。
実際には、倍音の違いで生じる響きを楽しめればいいのですね
極端に男声、女声の違いを示そうとはしないほうがいいです。
ルネッサンスは均衡を保つこと、つまり調和が大切であることは忘れないで下さい。

この低声部の部分にアルトがそっと加わり、ミ、ソ、シの和音を響かせます。この和音は次なるフレーズを迎えるための和音。一呼吸置き、4声によるド、ミ、ソの和音で高揚のフレーズを始めます。
各四声は少しづつ音型を変えながらも(装飾的)、ほぼ和声的に動きます。
この部分、ホモフォニックな響きは音楽上の<高揚>も与え、また全曲を通じての大きなフレーズをまとめる働きもしているわけです。

 

 以下続きます。

第31回「<アヴェ・マリア>2.」終わり


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