第32回('98/7/1)

<アヴェ・マリア>3.

さて、第三部ともいうべき箇所へと移ってきました。
8度(ユニゾン)の模倣で始まった冒頭、そして上2声(ソプラノとアルト)と下2声(テノールとバス)の対話風のフレーズを挟んで音を紡いできたのですが、いよいよ佳境に入ってきます。

冒頭のテーマ(同度の模倣)と同じ4度上昇型を持ち、小節数も倍となった旋律が再びソプラノから始まります。

このソプラノに対して、一拍遅れで下のようにアルトが5度下で模倣します。

この上声の終わりから、男声二声の響きが同じ関係をもって続きます。
小節数としては短いところですが、音色の変化が前半よりも一層際だった箇所です。

5度下の模倣が続きます。
メロディは3度下降が3回続くなだらかな線を描きます。
これは付けられた歌詞から、暁の明星の光を表しているのかもしれません。

 このソプラノに続いてアルトが五度下で模倣。

テノールとバスは、ソプラノとアルトと同じ関係を保ちこれに続きます。
結果、ソプラノ、アルト、テノール、バスと順序よく声部の入りを示し、そしてもう一度ソプラノの4度上昇を伴った「太陽」の出を導く装飾的な旋律を加えてこの部分を閉じます。

この部分に続く第四部は、
ユニゾンの巧妙な動き、そして五度の響きを挟んでの女声、男声の掛け合い。
絶妙の均衡を保ちながら対話のごとく綴られ、全体としての中間部を終えます。

この項続きます。 

第32回「<アヴェ・マリア>3」終わり


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