第37回('00/6/2)

呼吸法

発声の練習を始めて、初心者が最初に「発声法」らしく感じる練習が「呼吸法」でしょう。
しかし、この「呼吸法」なるものが<曲者(くせもの)>なんですね。
このテーマを取り上げるのを躊躇していました。
それぐらい難しいんです。
できれば「呼吸法」の練習することなく、あるいは意識することなく、母音の響などに集中して声を出している方が良いかもしれないと私は思っています。
しかし、「呼吸法」を教えてくださいという声が根強くあります。
実際、合唱団で「呼吸法」を取り入れて練習なさっている団がほとんどだと思われますので、ご要望にお応えして今回よりいくつかに分けて書いていきます。
参考にしてください。

先ず、以下のことが重要です。

ここでは基本的な動きの練習(実践に役立つ動きです!)を書きます。
(第9回「呼吸」と「リズム」も参照してください)

  1. 姿勢(立ち姿)。
    体は柔らかくしておきます。お腹や腰が硬くなっていないのを確認してください。
    特に、膝が硬直していてはいけません。柔らかく、上半身がスプリングの上に乗っかっているかのような感覚です。
  2. お腹を凹(へこ)ませて息を吐く練習。【自然な呼吸】
    四分音符=60ぐらいで練習。<1><2>とお腹を凹(へこ)ませながら息を吐ききります。<3>で一瞬のうちに筋肉をゆるめ、息を入れます。(吸うのではなく、自然に入ってきます)
    吐く拍数を増やしていきます。吸う拍は常に一拍です。(<1><2><3>と吐き、<4>で瞬間に息を入れる。<1><2><3><4>と吐き、<5>で瞬間に息を入れる、と続きます。)
    吐くのは口からです。吸うときは鼻と口からです。(健康上、鼻で吸った方が雑菌を防いだりや空気の温度調節ができます)
  3. お腹を凸脹らませて息を吐く練習。吸うときにはお腹を凹(へこ)ませます。【コントロールされた呼吸】
    (この練習が新しく加わります。)
    役に立つ実践的練習法!です。
    (この動きができない人もいるようです。しかし、歌唱呼吸法では一番効果的で実践的だと考えます。経験されたことのないかた、是非試してください) この練習は高音域を歌うとき、クレッシェンドのときなどに使います。力強い声を出したいときとか、(強い)声を維持させたいときに効果的です。
個々の練習時における注意事項もあります。
疑問ややり方の分からないところもあろうかと思いますが、まずは練習をしてください。
自分自身の体の微妙な動きの中で、呼吸時の複雑な筋肉の動きを感じ取っていただけるかと思います。

大事なことを書くのを忘れていました。
この練習は声を出しながらおこなって下さいね。
声を出さないで練習してもいいのですが、出来るだけ実際の声を出す動きと連動させることが大切だと思います。
声を聴きながら動きをコントロールしていく、これが大切なんです。

第37回「呼吸法」終わり


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