第125回('09/10/30)

2009年度「現代音楽シリーズ」に想う

今年のシリーズは大きな節目となったのではないかと思っています。
様々な角度から見てそう思います。
「現代音楽」の定義。
聴衆の動向。
演奏史的な意味。
演奏者達の意識。
結果としての結論はもちろんハッキリと出るわけでもありませんが、今年ほど「節目」を練習の折りから意識したことはありませんでした。

10月12日、奥琵琶湖で「現代音楽シリーズ」のための合宿が行われました。本格的練習の始まりです。

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千原作品の真新しい音符の無い楽譜を見ながら、メンバーたちに一つ一つ指示を与えた昨晩。
一夜明けて、朝、琵琶湖畔を歩いて撮った写真です。上の花は宵待草。小さいながらしっかり存在を示していることに心が動きシャッターを切りました。

下は眩しく湖面を照らす太陽。キラキラと、というべきか、ギラギラと、というべきか。
しかし水面は静かにたたずんでいます。



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二週間後に迫った演奏会。
女声合唱、バルトークの弦楽合奏、マリンバとの協演がある混声合唱。
あっと言う間に時間が過ぎ去っていきます。
メインの千原作品では演出によって次々と動きが加えられて行きます。
本番では一人一人の演技が必要となりました。

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即興的な動きを要求しました。振り付けはしません。
自らがテキストによるイメージで動きを付けていきます。
今回ほど団員たちの凄さに驚いたことはありません。
幾分かは想像していたことではありますがこれほどとは思いませんでした。
本格的な動き、踊りはやはり専門性が必要です。しかし、今回は時間がありません。
全てメンバーの自主的な動き、判断でした。

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会場での動き。会場からステージへと、そしてステージから会場へと。
これらができるのも、今までの経験があるからですね。
これまでの柴田作品(柴田南雄氏のシアターピース)に依るところ大です。

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照明が加わります。新しく加わったスタッフと共に色を付けていきます。
これもある意味スリリングでした。
そして出来上がった色づけに満足です。大きな影。白い衣装に映える薄い色合いと光沢の光具合。

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動きも照明も当日のゲネでどんどん変更、そして加えられていきます。(無調の合唱曲が二日前に加えられました)
作曲の千原さんも積極的に指示。
それに瞬時に応えようとするメンバーたちの適応振りは立派でした。誇るべきメンバーたちです。

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そして当日最大の立役者、それが「SCO」です。
ここに掲載している写真は全てリハの時のもの。
舞台袖から撮られた写真は珍しいですね。
主旋律を担うフルート群とそしてオーボエ。
下には表現力抜群の打楽器たちが並びます。
弦は雅楽での笙の役目。
全てが舞台を引き立ててくれました。いや、ステージでの演奏を一層高めたものになりました。

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音楽史の流れを追いながら「日本の音楽」探し。
時には緩やかに、時には激しく。
今回の千原作品は言葉の世界。私は「言霊」の響きと呼びました。
千原作品における「響き」、大きな魅力の一つですが、今回はさらにその世界を見極めようと「言葉」の響きとして深いものになりました。
音楽と言葉の境界線を行き来する作品。
古代の人々の「心の叫び」の原初的風景。そのことを彷彿とさせることに成功したのではないかと思います。

合唱団の実力は確かでした。
さまざまなところでそれが現れました。
「SCO」は一層音色が豊かになってきています。アンサンブルも確実に巧くなってきました。
演奏会を重ねるごとに、そして年を重ねるごとに成長している、と確信、そして自負する私です。
スミマセン。
驕り高ぶりとしてではなく、少しだけ言わせて下さい。
「我が団(合唱団、オーケストラ)は大阪にあって、誇って良い団体だ」と。

第125回('09/10/30)「2009年度「現代音楽シリーズ」に想う」この項終わり。


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