第138回('12/03/30)

石垣島に思う

今年も又石垣島に行きました。
去年は3月末から4月半ばの一ヶ月。そして今年は3月12日から26日までの2週間。
前回は心身共に後がない状態での休養期間。決意して良かったですね。そのことがあって去年は一年を通じて頑張れたと思っています。
今年は短めだけれど、休養だけ、と思っていたのですが・・・結果は毎日が忙しくなり、今後の活動への始動期間となったかもしれません。超忙しでした!

それにしても、石垣に居れば私自身のスタンス、日本という国、文化を考えさせられる機会になってしまいますね。
大阪文化の発信、日本文化の発信、そのように考えて大阪、京都、名古屋、東京、と演奏の基盤を整えながら新しい音楽文化の流れを作ろうと活動してきたのですが、石垣に来てみると私が考えてきた文化や国の姿が違って見えるのですね。
ここ石垣島は間違いなく日本国の一部なのですが、ここで見聞きするものは全て想像を超えての文化の間(はざま)です。
この国の大きなうねりの流れは、東京を中心とした日本様式が主流でしょう。
ここ石垣島でもその例外ではないのですが、実感としてはここでの人々の生活はそれらと対峙するような味わいのある肌感覚的なものです。
この地の人々は私たちが少し忘れてしまったかもしれない「人間の生活様式」を営んでいると私は感じます。
その違いを思う時、いつも生活をしている大都会での生活は「一体何なのか?」と問うてみたい思いに私は大いに掻き立てられしまいます。

我々日本人が集まると、「経済」(金儲けの話ですね)が中心。「お金」に始まり、「お金」に終わる。それもバーチャル的な妄想の世界で。
《ことの全て》が「お金」に集約されるかのような流れになることが多いのですが、まぁ確かにその重要性、大切さや切実さも解って言うのですが、その話題、繋がり方では人としての足元を掬(すく)われててしまう危険性もあると私は思うのですね。
この地、石垣島で「経済」を考える時、土地に合った生活様式を考えずしてその結果、方向性が定まることはないと識ります。
生活様式を見ずして、体験せずして「経済」がもたらすものの「良くも」「悪くも」が見えるわけがない、と言いたい気持ちになるのですね。
「都会の様式」が入ってきています。そして「経済」が動いています。その中に在って、一部の〈都会派〉が率先して「経済優先」(利権がらみと言っていいでしょう)でことを運んでいるのではないかとさえ思ってしまうことがあります。
しかし救われるのですが、ここで生活している多くの「生活人(民)」はそのまやかし、欺瞞性に静かではあるが深く憤懣を覚えているのを私は感じ取るのですね。
ただ、それに抵抗するにしてはこの地の人々は大人しく、また優しい。(生活人としては逞しいのですが!)

私が石垣に来るようになって20年ほどが経ちました。
じわり、じわりと体も心も近づけていきたいとの思いで過ごしてきました。
ダイビングを続けながら、この地に住む人々の生活感を感じ取りたかったのですね。
多くの都会人がこの島に来ています。新たな生活を求めてやって来た人もいます。
道路沿いには年々小洒落た家やお店が建っていきます。
入ってみれば、「東京からやって来ました」「大阪です」と全国の県名が聞かれます。
始めはそういった方々との交流でしたね。心ならずも昔から住んでいる島民の方と話す機会は少なかったのですが、今回一気にお話しする機会が増えたと思います。

人と人とが近いですね。どこかで繋がっている。出身地で、学校で。それが親やそのまた親まで遡るのですから窮屈と言えばこれほどの窮屈さはない。
しかし、それが一旦繋がると強い絆となることもまた確か。
大都会になればなるほど無関心さも大きくなるのですが、ここでは否応なしに関心を待たざるを得ない状態になるわけですからまた厄介な問題にもなる。
意見の対立となれば想像以上に息苦しくなりそうです。しかし、一致すればこれほどの力強さもまたないのですね。

都市化を押し進めたいと思う人は沢山いるでしょう。現実に物足りなさを感じている人は多いでしょうね。都市化、遅々としているようにも見えます。
しかし、人の生活は充実していると思えるのですね。いや、人としての原点に戻れる環境に溢れていると思うのですね。


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石垣島のくびれを見ることができる風景です。(平久保半島の付け根にある玉取崎から平久保半島を望む)
島の形が見える。これって凄いと思うのですが、どうでしょう。自然と生活が見えるんですね。

下の写真はメインの商店街。(ユーグレナモール)
ちょっと閑散としてますね。時間や季節によってはもっと人通りもあるかと思うのですが、観光客も減ったとかで少ないのでしょうか。
私が来始めた頃はもっと人通りもあって賑やかだったように記憶しています。

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しかしですね。その中にあって我々のメンバーが通い始めている店があります。
それがこのお店のおばぁの店。塩煎餅がお目当てです。町の人もよく知っていて仕入れの時間がくればそれを求めて人が集まります。(この塩煎餅本当に美味い。一度ご賞味あれ)
(この時は私たちが並びましたが。(笑))

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このショッピングモールには下の写真のようなものもあります。子どもたちが長く触って遊んでいましたね。iPadを楽しんでいました。

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夜の風景はさすがです。私、好きですね。夕暮れ時、散歩した折に撮りました。このコース私が少しだけ走る公園内の道です。
200mほどでしょうか。あまり走らなくなった最近ですから、貴重なランニングコースです。(笑)

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そのコースの横。天空を見れば金星と木星。その周りを月が彩る(この時は見えなかったのですが)。日や時間帯で天文ショーは最高潮に達します。
星は美しく見えます。南十字星も見えます。夜は本当に「夜」です。(笑)

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橋の上から撮りました。港の灯りです。いつも思うのですが光を見ると人の生活を覚えます。
この光の中に、またはその周囲に温かい人の温もりがあるんだ、と想像するのですね。
今日も一日ご苦労様。そしてありがとう様。
明日も良い日でありますように。
石垣の人の中で過ごして二週間でしたが、人が社会を作り、人のための社会になるにはどうすればいいか。その大切なものを教えてもらったような気がします。

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第138回('12/03/30)「石垣島に思う」この項終わり。


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