欧州シリーズ2[美声の君]


97年のドイツ旅行、リューデスハイムの町で美声の鳥に出会った。

ライン川観光の前に、この町を散策する時間があったのだ。
他のシュッツ合唱団のメンバーはほとんど行ってないような町はずれ、そこにはキリストの磔刑像などがあった。

はじめて落ち着いて触れるヨーロッパの街並みに興奮し写真を撮りまくる私。ふと美しい声を耳にする。鳥の声だ。

磔刑像の反対側の家の屋根の上。そこに美声の君はいた。
初めて聞く声。日本では聞くことが出来ないであろう声。ヨーロッパの鳥を初めて実感した。

ふとC・ジャヌカンの「鳥の歌」を思い出した。この歌は鳥たちの鳴き声を模して作られた部分がある。
ヨーロッパでツバメたちの声、そしてこの美声の鳥の声を聞いて思った。

「この声を聞いているから、あのような曲になるのだ。日本の鳥の声を聞いてもあのような曲にはならない」と。

音のスピード感、流れ、イメージが、日本の鳥たちとは全て違って聞こえる。なるほど、ジャヌカンはすげぇ、と思ったものである。

この美声の君の正体は、わからなかった。
外国の鳥である、私には知識がほとんどない。その上逆光であった。
もしやクロウタドリかとも思ったが、シルエットが違いすぎた。
残念である。

いつかまたヨーロッパに行くことが出来るのなら、もっと知識を仕入れていこう、そしてもっと多くの鳥を見、声を聞くのだ。

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