『鼻茸(ポリープ)切除手術』 |
1999/Jul/10
うえだうえお
実は、子供の頃からの慢性蓄膿症で、ずっと手術を勧められていました。今の耳鼻科に通うようになって、随分良くなったのですが、この先生も手術を勧めてくださいます(^^;)。しかし、本格的な手術となると、最低2週間、長いと30日ほど入院する必要があるそうです。今のスケジュール(合唱団のね。(笑))では、とてもそんなまとまった時間は取れないので、ずっと放置していました。
しかし、先生がおっしゃるに、 『鼻茸(ポリープ)を取るだけでも、蓄膿もちょっとはマシになる事もある。』『事もある』という所がやや不安だったりもしたのですが、鼻茸の切除だけなら1日で終わるという事ですし、母の知人のおばさんも、しばしばここの医者で『レーザーでちょっちょっと焼いて』もらっているという話でした。そんなに簡単なら、一度やってもらおうと、一月ほど前に、気軽に予約を入れたんですね。 一応、2日ほど止血のガーゼを入れるという事だったので、プーランクの演奏会が終わった後のこの時期なら大丈夫だろう、判断しました。京都までは、もう少し時間がありますしね。そこの医院は処方箋制度なので、窓口では薬をくれません。ところが、予約をしたその日の帰り際に、薬を一錠渡されました。 『手術の日の11時頃に、これを飲んできてくださいね。精神安定剤ですから。』おいおい、精神安定剤が必要な程恐ろしい手術をするのか?レーザーでちょちょっと焼くだけと違うのかぁ? と一抹の不安を感じながら、そのまま前日まで手術の事などすっかり忘れていました。(^^;)
さて当日(7/7 Wed.)。念の為に、会社は一日休みをとりました。鼻にガーゼを詰め込むという事なので、練習でも歌えないでしょうけれど、行くくらいは出来るかな、と思っておりました。 ちゃんと精神安定剤も飲んで、麻酔もしてもらって、さぁいよいよです。期待と不安をもって周りを見回しても、いつもの機器以外に特にレーザーらしきものは見当たりません。まずはファイバースコープで鼻腔内のポリープを確認し、 『ほな、はじめましょかぁ。』とおっしゃった先生が右手に持たれていたのものは・・・。 それはレーザーなどという最新の機器とは程遠い、鋏状の道具の先端にループ状の針金を取付けた、見るからに恐ろしい機具でした。まさか、こいつを鼻につこっむのでは?と思うまもなく、素早く機具を鼻に挿入し、ループ状の針金をポリープに引っかけ、そのまま 『べりべりっ』と引き剥がしてしまわれました。本当に、ベリベリっという音が聞こえましたよ(^^;) 僕の鼻腔の形状はちょっと変わっているらしく、その上、鼻茸も一つや二つでは無かったので、この作業が何度と無く繰り返されました。しかし、恐怖はこれだけで終わった訳ではありません。道具を『ヤットコ』様の物に持ち替え、 『さぁ、ここの所をきれいにしとかんとなぁ・・・ここがシコツドウなんですが・・・。』などとのたまいながら、鼻腔内をガリガリと削っている様子・・・今、シコツドウって言いました?それって、副鼻腔ですやん!そんな所まで奇麗にして頂けるとは思っていなかった僕は、思わず感涙にむせび泣いていました。 麻酔が効いているとはいえ、鼻腔内をこれほど派手につつかれると、目から滝の様に涙がこぼれ落ちていました。(^^;)左側が(鼻の形状のせいで)特に作業が難しかった様で、こちらの作業にじっくりと時間をかけられたのち、最後に止血用ガーゼを挿入します。実はこれ、鼻の隙間という隙間に、ガーゼをグイグイと押し込んで、圧迫する事で止血するらしいんです。これが実に痛い。 『痛いですか?でもちょっと我慢してくださいね。ここで妥協をすると、出血がとまりませんから。』といわれては我慢するしかありません。 すべての作業が終わった後、顔や口に付いた血を洗う為にうがいをさせてもらいました。この時、鏡を見てびっくり。『茫然自失』とはこの事ですね。目は真っ赤に泣き腫らした様になってるし、鼻はガーゼを突っ込まれて『だんご』の様になってるし・・・男前が台無しです。(^^) 良く考えてみたら、僕に対しては、先生は一言もレーザーを使うとは言われてませんでした。他の患者さんには、確かにレーザーを使うと言われていたので、僕もてっきりレーザーを使ってもらえるものと思っていたのですが・・・。この辺りは人(病状)を見てるんでしょうねぇ。 初めは簡単に考えていた手術だったんですが、結構大変でした。 結局、水曜日は出血の為に身動きがとれず。(ちょろちょろと出てくるので、ティッシュを丸めて鼻栓をしていました。さすがにこの格好で外出するのはちょっとはばかれます。(^^;))午後からは、ほとんど寝ていました。 木曜日は終日、鼻を中心とした顔面が痛いのと、ガーゼを詰め込まれてうっとおしいのとで、何も出来ませんでした。眠れるときは寝て、眠れないときは、ただひたすら時計を見てすごしていました。早く時間がたてば、それだけ早く楽になると思ったので・・・。(^^;) メーリングリストへの登録や、楽譜の事やらの定型的な仕事でさえ、すごい集中力が必要で、一つ済ますと疲れて1時間眠る、という感じでした。金曜日になって、ようやく外出しようという気分になりました。『花粉アレルギーのひどい人の気持ちって、こんなんかなぁ・・・』などと呑気な事を考える余裕が出てきましたし、とりあえず痛みはマシになりましたので、仕事くらいはできるでしょう。しかし、夕方には止血ガーゼを除去してもらう為に、また医者に行かなければなりません。まぁ、ほとんど二日間ずっと寝ていたので、朝早く目がさめました。少し早い目に出勤する事にしましょう。(木曜日に休んだのが予定外でしたしね。) 早く鼻のガーゼを取り除いて欲しい僕は、3時半に会社を出て、4時少し前に医院に到着しました。(診察開始は4時です。)もちろん、一番のりです。(^^)そして先生が現れたのは4時過ぎ。いよいよ、止血作業の開始です。 やっと楽になれる、と思っていたのですが、ここでも僕は、この手術を甘く見ていた事を思い知らされます。実は止血作業とは、
しかし先生、慌てず騒がず。 『大丈夫、絶対今日中に止めて上げるから。』頼もしいお言葉です(^^)。土・日に大切な練習(モンテの合宿)があるので、鼻腔内にガーゼが残ると困ると伝えてあったので、気を使った下さったのでしょう。実際、2回目のガーゼ交換の時には、出血が止まりました。ここで、先生が一言。 『えらいもんやなぁ、もう止まってきたで。』って、先生、さっきの自身に満ちたお言葉はなんやったんですか?(^^;) 結局、ガーゼ交換作業を4回くらい繰り返したでしょうか?およそ1時間かかりました。先にも書きましたが、このガーゼの抜き差しというのが非常に痛いのです。一連の作業の中で、この部分がもっとも辛く、体力も消耗します。 僕の場合、涙がボロボロこぼれて、目が真っ赤に腫れてしまいます。止血ガーゼ交換の時間待ちをしている間、子供の患者さん達は、僕の顔を見て怪訝な表情をしたり、泣き出したりしてました。(^^;)右は、2回目位には止まっていたのですが、 『どうせ左はまだやらなあかんから、ついでに右もやっとこ。』と、しっかり止血をして下さいました。有り難いやら辛いやら・・・ホントに泣き笑い状態でした。(^^) やっとこさ止血が終了し、『やったぁ、これで終わりやぁ!』と喜んで病院を出た僕ですが、さらに試練がありました(^^;)。駅に向かう途中で、だんだん鼻が痛くなってきました。この痛さは、歯痛に近い物があります。一歩あるくのも相当な努力が必要で、あまりの痛さに寒気までしてきました。先生からは、ガーゼを入れていたせいで鼻の粘膜全体がちょっと腫れているので、しばらくは痛いよ、と聞いていましたが、ここまでとは・・・。 やはり、『簡単な』とは言え手術は手術です。それなりの覚悟が必要ですねぇ・・・。僕の様に気楽に考えて受けると、とんだ痛い目を見ることになりそうです。(よく考えて受けても、やっぱり痛いんですけど。(笑)) 余談ですが、本当はこのあとそのままパート練習に行くつもりだったのです。が、痛くてとてもそれどころではありません。仕方がないので、一旦家に帰って鎮痛剤(ロキソニン)を飲んで1時間ほど休むと、痛みはウソの様にとれました。う〜ん、恐るべし、ロキソニン。効きすぎて、ちょっと怖いぐらいです。 一応、手術直後に医者からもらった鎮痛剤なのですが、今回は鎮痛剤を飲んでも良いとは聞いてなかったので、ちょっと心配になってロキソニンの事を調べてみました。どうやらロキソニンは、消炎鎮痛剤で、炎症を抑える事で痛みを和らげる様です。用途も、歯痛や手術後とありますから、まぁ、今回も飲んで大丈夫だったのでしょう。おかげで、痛みが和らいでパート練習にも行けましたし。(と、納得しておこう。) (終わり) |