ベートーヴェン シリーズに寄せて ~ その1前回(2002年)、SCOで交響曲第7番を演奏した際に、後援会の会員様よりお寄せいただいた文章をご紹介いたします。 ![]() 前半は日韓共催によるサッカー・ワールドカップの熱気が国中を席巻し、後半は北朝鮮による日本人拉致事件の この1年"生"で音楽を聴く機会は、決して多くはなかったが、振り返ってみて、強い印象が残ったのは去る10月14日いずみホールでの「ベートーヴェンの夕べ」取分けプログラム後半の「第7」の演奏は、異常なまでに熱気を帯び、聴く者を圧倒するもので、今年一番のものとして忘れることができない。 当夜の冒頭に演奏された「第2」は表現にやゝ硬さあって、幾分客席との距離が感じられた。また間奏に余り聴く機会の少ない合唱曲を選択されたのも、大阪コレギウム・ムジクムならではのものであり、単に珍らしさだけでなく企画的に良かったのでは。 さて、リズムの 素人の私ごときが全うな音楽評など 余談であるが、いずみホールの周辺に私には苦い想い出がある。敗色濃い戦時中の昭和20年(1945年)当時、旧制中学の学生として軍需工場に学徒動員され、毎日いずみホール横の省線(現環状線)を利用していた。大阪が空襲爆撃を受け、たびたび鉄道が不通となったため、その都度、線路を歩行する破目に会った。いずみホール横の寝屋川に架る鉄橋を幾度か恐怖に足を 戦後57年を経た今日、素晴らしい音楽(演奏)に出会って、その余韻に浸りながらの帰途、不図その鉄橋を眺めるとき、何とも云いようのない感慨を覚えるのである。 ベートーヴェン・シリーズも、いよいよ大詰めとなったが、残る「第1」と「第3」(英雄)にどのように挑まれるのか、新春に向け胸膨らむ思いである。ともあれ、今回素晴らしい「第7」の音の響きに、正に「生きていて良かった」を実感させていただいた。 当夜の会場の皆さんと"至福のとき"を共有できたことに心から感謝申し上げる次第です。 (2003年3月号「シュッツの会」便りより転載) ベートーヴェン シリーズに寄せて ~ その2「塩川先生のベートーヴェン」 【2007/05/05】 |