2008/2/28
衝撃の「雨ニモマケズ」

(今回の担当:Bas.長井洋一)


千原氏の「雨ニモマケズ」を初めて音だししたのは昨年の夏合宿。
まさに衝撃でした。
この曲はいったい誰の作曲なんだ?本当に千原英喜か?

 作曲技法のことは私にはわかりませんが、たしかに千原氏の作風の変化は感じてはいました。先ほど発売された、千原英喜作品全集第4巻の良寛相聞も私にとっては一つの驚きでした。

 私のように何十年もバスのパートばかりを歌っておりますと、合唱の楽しみといいますのは「和声の進行」が最大の楽しみでありポイントです。和音がどのように移り変わり、全体の和音の色をイメージ通りに出すにはバスとしてどの音色を選択するかが最大の仕事といっていいでしょう。C-Durとc-mollでは同じCでも全く違う音じゃー!とメンバ−には偉そうに言っている次第です(笑)。そんな私でも良寛相聞のメロディの美しさにはしびれました。シンプルながら歌詞の微妙なニュアンスを表現した絶妙のメロディで、ちょっと曲の雰囲気が変わってきたなぁ・・・と思っていたところにこの「雨ニモマケズ」でした。

 私の個人的な感覚だけで申し上げるなら、極限にまでシンプルに書かれていながら、合唱の「往年の名曲」のような古くさい感じがしない。かといって最近のポップスのように「単調で軽薄」ではない・・・過激発言・・・。「人生の教訓」を重厚に語るような曲が出てくるかな?と思っていたら、「人生の応援歌」ともいえるなんと若々しく、希望に満ちた曲想。さらに、声を出してて単純に楽しい。

 演奏しながら声を出すためのエネルギーがさらに湧いてくる。高校生から超ベテランまで、誰でも歌えるし、歌って欲しい曲。いずれにせよ、千原氏の曲のイメージを大きく変える曲であることは間違いありません。

 そして更に、この「雨ニモマケズ」が東京公演では<弦楽合奏版>に改訂されます。これは楽しみです。

 実は私、合唱のピアノ伴奏という形式があまり好きではありません。 ・・・衝撃の告白・・・
 確かに歌曲の伴奏、独奏楽器としてのピアノはとっても好きです(特にベートーベンのピアノソナタが好きです)。でも、合唱に単純に和音を重ねるだけの伴奏はとっても歌いにくいのでイヤなんです。和音の色を作りにくかったり、どのピッチを選択すべきかわからなくなることがあるんです。人間の声では出ない音域の補充や、華やかさをプラスする伴奏はいいのですが、単にピアノがあったほうが下がりにくいからええやろ・・・ というような伴奏の曲は私にはつらいんです。  ・・・究極のわがまま・・・

 東京では<弦楽合奏版>です。合唱に弦楽合奏が付くことで歌いやすくはなっても、歌いにくくなったことは私の経験ではありません。これは楽しみです。関西の演奏以上に「燃えそうです」。


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