八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.23


【掲載:2014/01/30(木曜日)】

やいま千思万想(第23回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

[コンピュータが人類を制御する]

 人類の軌跡を追う、というテーマをこのコラムの中心に据えたいと思って書き始めました。
日本人の起源はどこにあるのだろうか? いや、人類は何処から来て、何処へ行こうとしているのだろうか?
その大きな流れの中で「現在」を見つめたいとの強い思いがあるのですね。
それを知れば「人」はどのように生き、そして一生を全うすればよいかも少しは解るのではないか、そう淡い期待を持っています。

 グレートジャーニー、人類の偉大な旅を追うのは楽しいです。類人猿、猿人、原人、旧人、そして現生人類(ホモ・サピエンス)へと進化してきた人類。
その発祥地は20万年前から10万年前のアフリカだと現在では定説となっています。
そこから全地球上に散らばっていく、人類の旅路が始まり、理想の地を追い求め人々は定住し、そしてそれぞれの文化を産み出していく。
その軌跡を追いたいのですね。

 直立二足歩行を成し遂げた人類は他の動物とは決定的な違いを示していきます。
手を使うことを知り、道具を手にいれます。
言葉を発して仲間と連絡を取り、知恵を付けます。
それはより生きることを有利にし、ますます進化を遂げていきます。
旅路は今や宇宙へと向かうところまでやって来ました。

 その大きな役目を負ったのは人類が産み出したコンピュータです。
この発明は人類そのものを急速に変化させました。
それは更なる発展なのか、それとも衰退と破滅への道なのか。
少し暗い道への飛躍になりそうですが、それほどにコンピュータ社会は人類にとって大きな存在となっています。
現代社会は全てコンピュータによって制御され、運営されている、といっていいでしょう。
もう人的要素の入り込むスペースなどないように見える程にコンピュータが使われています。
確かにコンピュータが活躍する分野は驚嘆です。
計算することや、記憶することなど人が苦手なことをコンピュータにやらせればいとも簡単にやってのけ、一瞬のうちに答えを出し、整理します。

 しかし、その素晴らしさに慣れすぎれば人が作った道具に人そのものが影響を大きく受けることになってしまいます。
人間の思考がコンピュータ的になっていくのですね。
人類の進歩を促進させるコンピュータが人類を制御するということになってしまいます。
そのことについてはまた書きたいと思うのですが、今回はコンピュータならではの仕事を紹介しますね。

 人類に「白人」が現れたのはそう遠い昔ではなく比較的新しい石器時代(7千年前)ではないかとの遺伝子解析(『ネイチャー』論文より)。
そして、一部のアフリカを除く世界のほぼ全ての民族にモンゴルの血が混じっているという報告(『サイエンス』誌より)。
面白い!
これらは人が収集し作成したデータを、高い処理能力を有するコンピュータでの解析結果です。
コンピュータの成せる業ですね!
これからも続く人類のグレートジャーニー。
コンピュータとの寄り添い方がその方向を決めることになりそうです。





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