八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.52


【掲載:2015/04/15(水曜日)】

やいま千思万想(第52回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

[心から愛され注目される八重山ではあるけれど(パート2)]

 3月に訪れていた長期滞在での石垣島。その印象の第二回目です。
石垣は外から見るのと内から見るのとでは随分と違うものです。
島は超激変の真っ最中なのですね。
工事が盛んに行われています。正確に確かめたわけではありませんが、車の移動中、町での食事、買い物にでかけたときの印象です。
島が人も風景も変化し続けていることを象徴しているかのようです。
道路の造成・整備、そして電柱を地下にとの工事も徐々に始まっているようでしたし、サザンゲート公園先の埋め立て地もトラックが行き交っていましたね。
どんどん急ピッチで変化し、都市化が進んでいるようです。
歓迎の気持ちも一杯なのですが、どうなっていくのだろうかと不安な気持ちもあって、少し落ち着かなかったです。
インフラ(社会基盤)は最優先ですが、観光の島である石垣が未来に繋ぐものとして、文化・伝統とどう調和を図っていくかは熟慮しなければなりませんね。
本土のコピーではない石垣文化を是非とも築き上げて欲しいです。
生活の豊かさ、幸福は足早にやってくるものではなく、時間をかけ、充足感を丁寧に積み重ねることで達成されるのではないかと私は思っています。
慌てず、急がず、地道に、着実に、ですね。(急いだものは、一過性に終わることが多いです)

 滞在中はその変化の速さを横目に、この地にあった豊かさとは何だろう、と考えながら出掛けます。
島が生み出すものは何か?に関心を持ちます。
以前に出会った八重山の藍染めの「島藍」。土作りから栽培、染め、縫製そして製品開発と一貫し、今ではその製品は全国へと広がっているようです。
本土の新幹線の中でそのシンボル的な4色ストライプデザインを見たのは嬉しかったですね。
 手芸雑貨店「てしごとや」にもよく出掛けます。店に並ぶ国内外の個性豊かな作品は見るだけでも楽しいです。
また同じく雑貨店の「蓮屋」ではハッと昔を思い出させるようなドキドキ感の器や雑貨に出会います。
両店とも店主とその感性に魅力を感じ、また心和むのですね。人もやはり島のブランドですよね。

 本業の音楽も気になるところです。
これに関しては730交差点でのライブコンサート以来お付き合いがある佐久川広海さん担当のFM番組の中で、「バンナ公園」の一層の活用と、園内に人が集う音楽施設設置をと提案をさせていただきました。
 石垣少年少女合唱団の砂川富貴子先生にも久しぶりにお会いし、練習も少しでしたが見学、未来へ向かう子どもたちの響きを聴きました。
 人と言えば、石垣滞在にはあるホテルをいつも利用しているのですが、長期にわたればホテルのサービスが大切になります。
その一つが朝食。少しずつメニューが変化するその心遣いと美味しさに滞在の喜びはひとしおで、それも「人」が作り出す大切な感動です。

 超激変の石垣。愛され、注目される島なのですが、その魅力は人と人とを繋ぐスローテンポの確かな歩みにあると思うのですね。





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