'96/12/18

「エヴァ」定期演奏会


今森之宮のピロティーホールの楽屋でこれを打っています。
エヴァ・コールの定期演奏会のリハーサルが終わったところです。

大学での選曲はほんとうに難しいですね。
合唱経験者は数えるほど、ほとんどが大学に入ってからコーラスを知った人たちですのであまり難しいのは選べません。
かといって、歌いやすく容易な曲を選ぶと、一年間の練習に耐えられません。皆飽きてくるのですね。
いくつかの大学合唱団を見ているわけですが、それぞれ学風といいますか、大学のシステムなどによっても事情がありますので、選曲の基準がおのずと異なってきています。
「エヴァコール」では、関西パイオニア的存在になって欲しいと言い続けてきました。
難曲、ユニークな曲、知られざる曲などを取り上げてきましたね。
しかし、こればかりだと、音楽の楽しさを知ってもらう機会がなくなる危険性もあるのですね。
そこで最近ではちょっと傾向を変えました。(といっても私が選ぶわけですから限界もあるかもしれませんが)
4年を一サイクルとして、様々な様式の曲を経験してもらうことにしました。
昨年は柴田南雄、今年選んだ曲は三善 晃。氏の作品の中でも今日の「宇宙への手紙」は難解な曲の部類に入るでしょう。

演奏が終わりました。
簡単ですが感想を書いておきましょう。
第一ステージ。最近女性指揮者の質が上がってきましたね。
素直なアプローチに柔らかい感性が加わって好感の持てる演奏でした。メリハリに欠けるということも言えるかもしれませんが来年に期待しましょう。
第二ステージ。難しいリズムをよく振りましたね。練習では大変でしたが、皆の協力もあってなかなかの仕上がりでした。
指揮者というのは不可思議な存在です。
独裁的になってもいけません。また、団員のカイライとなってもダメです。
団員より少し先を行き(音楽的にも技術的にも)、そして決して暴走してはならないのです。
今回の第二ステージは学生として、素敵な指揮者と団員の関係を示してくれたと思いますよ。
第三ステージ。ごった煮のような舞台。これはこれで良い企画だったと思うのですが、中途半端になり易いのですね。
歌い手にとっての息抜きと受け取られては残念ですね。
聴衆にとっての気楽に聴いていただく意図があるのなら徹底してそれに徹するべきですよね。エヴァは個人個人の魅力はなかなかのものです。それをもっと生かした舞台にして欲しかったと思います。練習する時間がなかったかもしれませんね。
とは言っても、男声合唱の響きは良かったです。そして「流浪の民」のソロの人たちがんばりましたね。良かったですよ。
さて、私の振った舞台です。
ほんとにご苦労様でした。この曲をここまでよく演奏したと思いますよ。アカペラ、そしてハモリにくい音、声楽的ではない音型、どれをとっても演奏しにくい曲でしたね。
音楽的な仕上がりとしての正直言って完成度は高くなかったですが、皆の底力にはいつもながら感服するところです。
三善の世界は独特です。彼の魅力を知り、納得のいく演奏を志せば、系統だったアプローチの仕方をしなければなりません。音楽としての練習の方法もですし、他の三善作品を歌う経験が何よりも必要です。
アプローチの仕方の順番は逆になりましたが、経験して欲しかった舞台でした

疲れた(心配の個所が多かった)演奏会でしたが、終わった後の清々しさは今までに無かったものです。
来年はどんな曲になりますか。楽しみにしておいてくださいね。