第1回

「合唱」の発声はウラ声?

先日、あるテレビ番組において、カラオケで歌うときは地声が良いというようなことを言っているのが耳に入ってきました。その番組を見たのは朝の起き立てだったものですから詳細はハッキリとは覚えていないのですけれど、その後も女性に地声を出す訓練をするシーンがあったようには記憶しています。
不思議な思いでした。何故かと云いますと、私が日頃多くの「合唱団」で感じていることと反対の印象だったからです。関西では「地声」で歌う人が多いのです。私はいつも「もっと頭の方に響かせて」というのが常なんです。
「地声」「ウラ声」という言葉は一般的によく使われるようですが、合唱の世界では「地声」を「胸声」、「ウラ声」を「ファルセット=頭声」といいます。これからはこちらの言葉を使っていくことにします。
結論を先に云っておきましょう。
良い発声とは・・・「ファルセット」と「胸声」をミックスさせることのできる発声法なんです。「ファルセット」が出せる状態の上に「胸声」を加える。そういう発声法なんです。
では実際はどうするか?
これはなかなか説明が難しいのですね。実践あるのみなのです。
文章では理解しにくいかもしれないのですが、日頃現場で確認している事柄に基づいて、これから繰り返しこの発声を色々な方法を使って解き明かしていこうと思っています。取りあえず今回は合唱の発声は「ファルセット」でもなく、「胸声」でもない「中間の声」なのだという話。
その「中間の声」のことを我々は「ヴォーチェ・ディ・フィンテ」あるいは「メッツォ・ファルソ」と呼ぶことにしています。


【戻る】