『自転車で上牧まで(その1)』





1999/Sep/25
うえだうえお



今日は土曜日。お昼から、おかあさんコーラスの練習にいって、夜は京都モンテの練習へ。ハードな一日になりそうである。

実は、最近原稿書きをしている。Webの駄文ではなくって、ちゃんとした本になる予定である。しかも技術書(入門書)。ちゃんとした書籍なので、編集からの注文もきびしい。昨夜も遅くまで原稿の修正をしていた。結局仕上がらなくて、朝早くおきて仕上げをしていたので少し寝不足だ。

と言うわけで、今日は放って置いても無茶苦茶ハードな一日になる予定であった。所が何を思ったか、おかあさんコーラスの練習が終わった時にふと、

『桂(練習場)まで、自転車で行きたい!』
という気持ちが沸き上がってきたのである。おかあさんコーラスの練習が終ったのが3時半。すぐに用意をすれば、4時には家を出られる。親父が生前、「京都まで自転車で3時間で行けるぞ」と豪語していた。親父の自転車は運搬用車両であるから、僕のマウンテンバイクなら、もっと早く着くかもしれない。3時間かかったとしても、7時である。なんとか、練習には間に合うだろう。

もう、今日はハードな一日であるなどと言うことはすっかり忘れて、桂まで自転車で行く気満々である。ところが、原稿の打ち合わせの電話などをしていて、準備が出来たのが4時半。しかも、親父の話を母親にすると、

『お父さんはなぁ、大文字を見にいかはってん。そやけど、そのあと2日くらい起きられへん様にならはったわ。』
と言って、ニヤ〜っと笑っている。

う〜ん、自転車で行って、練習に間に合わなかったらシャレにならんしなぁ・・・しかも、この演奏会の積んでいる時期に2日も寝込む訳にもいかんしなぁ・・・。

と言うわけで、とりあえず小目標を設けて置いて、余裕があれば桂まで行くことにしよう。コースは、淀川右岸を枚方大橋あたりまでいって、そこから先は、それから考えると・・・。500mlのペットボトルにお茶を詰め込んで、さぁ、出発。(^^)

『う〜ん、我ながらなんて完璧な計画!』
と、とりあえずご満悦で都島を後にした。

淀川の堤防上には、管理道路がある。本来は建設局の作業車が通行するための道路なのだが、人や自転車は車止めを通り抜けて通行することが出来る。風の無い日にここを走るととても気持ちがいいのだ。ただ、僕は「高所恐怖症」&「スピード恐怖症」なので、この上を走るのはかなり緊張する。帰途は日が落ちているので、ここを走るのは止めよう。絶対に転落する。

などと訳の分からない事を考えながら走っていると、あっという間に鳥飼仁和寺大橋を、さらに淀川新橋を通り過ぎてしまった。次の橋は枚方大橋のはずである。所が、この辺りから堤防上の道路が一般道になってしまう。しかも交通量が多いのに歩道が無いのだ。ここを自転車で走るのは相当怖い。(結構、自転車徒歩で通行する人はいてましたが。)

で、堤防上から降りてこれ以降は河川敷を走ることにする。河川敷の道路も管理用道路で、所々に車止用のゲートやチェーンでふさがれている。こちらも歩行者や自転車はすり抜けられるのだが、夜間に走っていると、気付かずに激突する恐れがあるので、やはり帰途は使えない。

そして機嫌良く走っていると、道がだんだん堤防から離れていく。地図をみると、どうやら「芥川」という川が流れ込んでいる所らしい。

『秋の日はつるべ落とし』
とは親父の格言である。(いや、きっと違うと思うが、僕は親父から習った。)時刻は夕方の5時半ころである。そろそろ辺りは薄暗くなってきている。このまま管理道路を走っていると、最後は淀川本流と芥川との合流点に、愛車と共に流れ込むことになる事は必定と、諦めて一旦堤防上に上がることにした。ギリギリ2車線しか無い道路上を、トラック類を含む自動車が思い思いの速度で走っているのだ。そこを、我が愛車で疾走するのは、相当の勇気が必要だった。

まぁしかし、ここはとりあえずクリアして、淀川堤防から芥川堤防へと道路は続いていった。

(つづく)

ありゃ、一回読み切りの「雑文」のはずが、連載になってしまったよ。(笑)