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□■コレ・マガ■□
【大阪コレギウム・ムジクム メールマガジン】
(NO.029 2002.3.22 発行)
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※このメールマガジンでは、大阪コレギウム・ムジクムの活動状況、演奏会、
CD発売などの最新情報をお伝えいたします。
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暖かくなったり寒くなったり、この時期は毎朝着る服に悩みます。予想があた
ればいいんですけど、はずれるとブルブル凍えながら帰る羽目になったりして
しまいます。みなさんもそれでお風邪など召さないようにお気をつけ下さい。
さて、今週の□■コレ・マガ■□をお届けいたします。
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┏♪今週の目次♪━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
1.一意直到 〜当間です〜
2.特別企画:今週の「いち押し」CD&演奏会 その2
3.演奏会情報 − 3月〜5月のコンサート −
4.ホームページ更新情報
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━♪今週の目次♪┛
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◆◇◆◇ 一意直到 〜当間です〜 ◆◇◆◇
「七五三コンサート」というのはいかがでしょう。
子供のお祝い事、選曲もそれにふさわしいものを選んでのコンサートです。
こういった演奏会の企画は「楽」です。
演奏会の趣旨や曲の説明がいるとは思われません。
これは大多数の人々が持つ共通理解の行事に関わるからですね。
実際に「七五三コンサート」というのがあるかどうかわかりませんが、一般的
(?)、そしてお祝い事なのですからあってもいいような気がしますが、いか
がでしょう?
喜ばれる方が多いのではないでしょうか。
(当の子供たちは喜ぶかどうか解りませんが(笑))
何故、このような話から今回の「一意直到」を始めたか。
それはこのような「七五三コンサート」に比べて「受難週コンサート」の浸透
性の難しさです。
最近は「受難週」について理解していらっしゃる方も増えてきてはいますが、
まだまだ一般的だとはいえません。
「受難週コンサート」を開くとなれば「受難週」とは何か?から説明すること
が必要になります。
また、演奏される曲についても日本語なら解説もいらないのですが、ラテン語
やドイツ語、又色々な国の言葉で演奏するとなると膨大になる資料、訳が必要
です。
そして、出来ればその意図や解説も有った方が喜ばれるでしょう。
浸透性に乏しいのは、非日常的な宗教(キリスト教)だからですが、歴史的に
観ても我が国ほど<宗教に関心を持っている>国民は他にはないと思うのです
がいかがでしょう。
書物に関しても、キリスト教に関連した出版物が多いですね。
キリスト教に根ざしながらも、普遍的な人間の問題として捉えたいとする思い、
それを汲み取っていただければと願って開く「受難週コンサート」です。
今回も膨大な資料や解説は用意されていません。
体全体で感じていただけるような音楽になればいいのですが。
(知識に傾きがちな聴き方というのに私ちょっと批判的です)
ところで、「七五三コンサート」、本気になって企画してみようかなぁ。
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◆◇◆◇ 特別企画:今週の「いち押し」CD&演奏会 その2 ◆◇◆◇
ハインリッヒ・シュッツ:ヨハネ受難曲/受難モテット (OCM-006)
ヨハン・クリストフ・デマンティウス:ヨハネ受難曲
(3/24 受難週コンサートにて演奏予定)
カウンターテノール:池内 茂
さて先週は、デマンティウスの「ヨハネ受難曲」は「通作受難曲」という形
式なんだね、ふ〜ん、あ、そう・・・というところで終わってしまいました
が、今週はその続きからです。
4.「オラトリオ受難曲」(17世紀〜)
17世紀の半ばになると今度は北ドイツを中心に、前述のヴァルターによ
る受難曲をベースにして、器楽伴奏やシンフォニア等を挿入するといっ
た動きが現れ始めます。
やがてオペラの流行によりこの動きは加速され、聖書以外の歌詞作者に
よる自由詩のテキスト挿入、レチタティーヴォ、大がかりな器楽編成、
ダ・カーポアリアなどが導入され、だんだん受難曲がオペラの形式に近
づいていきます。これらは「オラトリオ受難曲」と呼ばれ、その中でも
最も有名なものがバッハによる「ヨハネ受難曲」「マタイ受難曲」なの
です。
5.そしてその後・・・
バロック期半ばより受難曲のオペラ化(?)はますます進み、ついに聖書
からのテキスト引用が一切無いものまで登場し、また演奏の場も教会か
ら劇場へと移っていくことになります。つまり「宗教作品」というより
は、むしろ聖書物語を題材にした「劇場作品」へと変貌していくのです。
(「メサイア」を思い出しますね)
オペラ化しつつあった受難曲の一例をあげると、ドレスデンで活躍した
Gottfried August HOMILIUS (1714-1785)の「マタイ受難曲」では、聖
書テキストに演劇的な歌詞が随所に挿入され、音楽そのものもかなりオ
ペラチック(?)な作品となっています。
印象的なところでは、自分に対するあまりの不当な扱いに対して、囚わ
れのイエス自ら(!)が、
「罪深き者達よ、おまえ達は永遠の恐怖に恐れおののくことになるだろう!
その時になって助けを求めても、おまえ達を救う者は現れないのだっ!!
ふははははっ 」
と、歌うアリアがあったりして、これはかなりビックリ。
※注:上記笑い声部分のみウソ。念のため。
えーっと・・・また長くなりそうなので、現代に至るまでの詳細はまた
別の機会に、ということで残念ながら今回は省略です。
現代のエストニア生まれの作曲家、アルヴォ・ペルトの「ヨハネ受難曲」
では再び「応唱受難曲」の形式(福音史家は複声部、テキストはラテン
語聖書からの引用のみ)がとられ、形式の上で回帰していることなど、
おもしろい点が多いのですが。
さて、受難曲の形式の歴史的な流れはこの辺で脇に置いておいて、いよいよ
シュッツによる「ヨハネ受難曲」のお話にうつりましょう。
作曲年代は初稿が1665年、当合唱団演奏のCDに収録されているのは新全集版
の1666年のもの。シュッツ80〜81歳の頃の作品です。
作曲年代から見た当時の状況としては「通作受難曲」から「オラトリオ受難
曲」への移行時期に当たります。
ひょっとするとヴァルターによる受難曲(応唱受難曲の形式)が、受難曲作
曲の際の当時のひとつの「お手本」としてとらえられていた可能性はあるも
のの、作曲時期を考えると当時でもやや古めかしい形式であったであろうと
いうことがわかります。
同じくシュッツ晩年の作品「宗教的合唱曲集(ガイストリヒェ・コーアムジ
ーク)」と比較してもその違いは明らかで、意図的にそのような古い形式を
とったのではないか、とも考えられます。
その形式のせいか、現代では「ぎりぎりまでそぎ落としたような」とか「淡
々と」「墨絵のような」等の、ややマイナス的な形容で紹介されることが多
いのですが、本当にそんなに地味な作品なのでしょうか?
楽器による伴奏も無く、福音史家など登場人物によるレチタチーヴォ中心で
進められる様は、バッハ等後世の作曲家による受難曲と比較すると、確かに
一見単調にも感じられます。
しかしそういった先入観を除いて、シュッツ以前〜同時代の作曲家による作
品(例えばデマンティウス等)と聴き比べてみると、実は非常に洗練された、
濃密、かつ情感に満ち満ちた音楽であることに気づきます。曲全体の形式こ
そ古めかしいものの、その器の中に込められた音楽は実に斬新で、強い輝き
を放っているのです。
後世のオペラ化していった受難曲越しにこの作品を見るのではなく、時代の
流れに沿った見方の方が、この曲の本当の姿をはっきりと理解させてくれる
のではないでしょうか?
さて先週も書きましたが、来る3/24 日本福音ルーテル大阪教会に於きまし
て、受難週コンサートと題して、第244回マンスリーコンサート【音楽市場】
が開催されます。
今回はシュッツの「ヨハネ受難曲」こそとりあげられないものの、同じくシ
ュッツによる「十字架上の七つの言葉」および「宗教的合唱曲集(ガイスト
リヒェ・コーアムジーク)」、そして通作受難曲の代表作とも言える、デマ
ンティウスによる「ヨハネ受難曲」と、同じくデマンティウスによる「イザ
ヤによるイエス・キリストの受難と死の予言」を演奏いたします。
この機会にデマンティウス、そしてシュッツの音楽を共にお聴ききいただけ
ましたら、それぞれの曲の、それぞれの良さを一度にご堪能頂けるのではな
いでしょうか。(当拙文がその一助になればよいのですが。)
それでは演奏会場にて皆様をお待ちしております!
あ、そうそう、
もちろんその時には以下の大阪コレギウム・ムジクムCDも併せてよろしく
お願いしますね。
シュッツ:ヨハネ受難曲/受難モテット (OCM-006)
指揮:当間修一
合唱:大阪H.シュッツ室内合唱団
お求めは演奏会場CDコーナー、お近くのCDショップまたはOCMホーム
ページで。
http://www.collegium.or.jp/html/cdwww.html
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◆◇◆◇ 演奏会情報 ◆◇◆◇
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■受難週コンサート■ 音楽市場 〜 マンスリー・コンサート No.244〜
3月24日(日)午後4時開演
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今週末の演奏会です!休憩時間にはティータイムもあります。
皆様お誘い合わせの上是非お越し下さい。
【曲目】
●C.デマンティウス/ヨハネ受難曲
●C.デマンティウス/イザヤによるイエス・キリストの受難と死の予言
●H.シュッツ/ガイストリヒェ・コーアムジークより No.4、5、19
合唱/大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団
●H.シュッツ/十字架上の七つの言葉
・エヴァンゲリスト(福音史家)…
ソプラノ/山川美弥子、カウンターテノール/上田達也、
テノール/阿部剛、バス/竹内幹
・イエス…バス/淺野毅彦
・左の犯罪人…テノール/飯沼正雄
・右の犯罪人…バス/竹内幹
合唱/大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団
弦楽合奏/シンフォニア・コレギウム大阪
●J.S.バッハ/二つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV.1043
ヴァイオリン独奏/森田玲子、木村直子
【会場】日本福音ルーテル大阪教会
大阪市営地下鉄 谷町線・中央線「谷町四丁目」駅下車、
1B出口より徒歩1分
【料金】一般2,000円 シュッツの会会員1,300円 学生1,000円
【お問い合わせ】大阪コレギウム・ムジクム事務所(06-6929-0792)
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■神戸公演■ 〜海からの贈り物〜
4月21日(日) 午後2時開演(1時30分開場)
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神戸での定期演奏会、第二弾!
春の神戸と、管弦楽・合唱・ソロが聴ける多彩な演奏を、満喫しませんか?
【曲目】
●J.S.バッハ/カンタータ「イエスよ、汝はわが魂を」SWV78
●D.チマローザ/2本のフルートのための協奏曲 ト長調
●J.ラッター/合唱曲集より
A Choral Amen
Open thou mine eyes
God be in my head 他
●木下牧子/無伴奏作品集(めばえ、グリンピースのうた、祝福、
44わのべにすずめ、夢みたものは、他)
【会場】神戸朝日ホール(神戸)
JR「三ノ宮」駅、阪急・阪神・地下鉄・ポートライナー「三宮」
駅より徒歩約10分/JR・阪神「元町」駅より徒歩約8分
【料金】一般4,000円(当日4,300円) 学生2,000円(当日2,300円)
(チケットぴあ、大阪コレギウム・ムジクムにて販売)
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※お得情報!※ 神戸公演、インターネット割引あります 〓先着50名様に〓
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一般4,000円(当日4,300)が ★3,500円 に!
学生2,000円(当日2,300)が ★1,700円 に!
コレ・マガご購読の皆様からのインターネットお申込み↓↓
http://www.collegium.or.jp/html/discount_ticket.html
により「神戸公演」チケットを特別価格で入手できます。
この機会にぜひご利用ください。
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【お問い合わせ】大阪コレギウム・ムジクム事務所(06-6929-0792)
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■木下牧子Homepage開設2周年THANKS CONCERT■
5月4日(土) 午後2時開演
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【曲目】(曲目は変更する場合があります。)
●木下牧子無伴奏女声合唱作品集より(めばえ、棗のうた、あけぼの 他)
指揮/当間修一、合唱/大阪H・シュッツ室内合唱団
●へびとりのうた 他
テノール/辻秀幸、ピアノ/木下牧子
●歌曲集「六つの浪漫」より(風をみたひと、ほのかにひとつ 他)
ソプラノ/佐竹由美、ピアノ/木下牧子
●「9つのプレリュード」より(第1・8・9番)
ピアノ独奏/白石光隆
●木下牧子無伴奏混声合唱作品集(鴎、44わのべにすずめ、いっしょに 他)
指揮/当間修一、合唱/大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団
【会場】トッパンホール(東京)
【料金】全席自由4,000円
3月4日(月)から新たにインターネット割引3,000円券の販売が始まりました!
インターネット特別割引券のお申し込みはこちらから
http://www.asahi-net.or.jp/~az4m-knst/hp.html
コンサート情報の詳細はこちらから(木下牧子氏の「お知らせ」ページ)
http://www.asahi-net.or.jp/~az4m-knst/app.html
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↓↓大阪コレギウム・ムジクムの2002年の演奏予定はこちらから
http://www.collegium.or.jp/html/ensoukai.html
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◆◇◆◇ ホームページ更新情報 ◆◇◆◇
このコーナーでは、大阪コレギウム・ムジクムのホームページ
http://www.collegium.or.jp/
の最新の更新情報をお届けします。
●当間の日記
http://www.collegium.or.jp/~sagitta/html/diary.html
No.419 日常の流れ【3/15】
No.420 かながわ第四回「ヴォーカル・アンサンブル・コンテスト」【3/18】
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