日々つれづれ
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2013年1月1日(火)
新年の挨拶にかえて

去年もずいぶん長く感じました。
今年はどのように感じるのでしょうか?

10年前(2003年)の今頃は、
オーディションの曲目で頭を悩ませていました。
(合格するのは翌年の2004年)
エヴァンゲリストは2000年の
クリスマスオラトリオから
やらせてもらっていました。

20年前(1993年)の今頃は、
前年の暮れの第九打ち上げで、
入団の意志を表明し
同じくオーディションの曲目で頭を悩ませていました。
就職は翌年1994年の7月、
阪神淡路大震災はさらに、その半年後でした。

同窓生が言ってましたが、
高校を卒業してから25年経ったそうです。
四半世紀ですね。

思えば遠くへ来たもんです。
皆様にとっても
良き一年でありますように。

2013年1月9日(水)
越えられない壁 「TOPDOG/UNDERDOG」

久々の観劇。
堤真一さんと千葉哲也さんの二人芝居。

両親に捨てられ
社会の底辺で肩寄せ合って生きてきた
黒人の兄弟が主人公。

アメリカで作られたお芝居のようで、
それを翻訳して、
今回の舞台にしたようだ。

パンフレットの写真にもあったが、
本来は黒人の俳優さんによる二人芝居だ。

主人公の名前(兄リンカーンと弟ブース)からして
風刺が効いている。
キーになるトランプカードによるイカサマで、
「黒で勝ち、赤で負け」も、
絶対黒は負けではない。
原作は知らないけれど、きっと
Black win! Red lose!
ていうセリフか。
違うかもしれないけど"Red"は、白人じゃないかな。
顔赤いし、日本でも赤鬼は漂着した白人という話もあるし。

兄のリンカーンは、顔を白く塗り、
遊園地で、リンカーン役をやり、
暗殺されるふりをする仕事を一日やっている。

もう、めまいがする程に背景はブラック一色なわけだ。

お二人の熱演は素晴らしく、
後半、両親を思い出す回想シーンでは
確実に黒人の子供の二人とその両親の顔が
浮かぶほどだ。
演じている二人も、黒人に見える瞬間もあった。

しかし・・・・。
二人の顔が黒人に見えた瞬間、
あ、でも日本人だという気付きに引っ張られる。
特に堤真一さんは、テレビ好き、映画好きの自分としては
そっちのイメージがあまりにも強い。

黒人←→やっぱり日本人
の振れ幅で、かなり疲れてしまった。

この芝居は、ある意味
黒人の俳優さんが羽織袴で
時代劇、もしくは歌舞伎を演じるほどに
チャレンジングな舞台とも言えるわけで、
黒人社会が抱える悲壮感のようなものを
日本人が演じるのはかなり難しいことだと思う。

機関銃のような二人のやり取りの中で
芝居の背景が明らかになっていくんだけれど、
日本人の口から、それが語られる違和感が
時折浮かんでは消え、
やはり振り幅が大きいのだ。

越えられない壁なんだろうか。
キャストなんだろうか、
脚本、演出、う〜ん。

勝手にキャスティングするなら
兄のリンカーンに大泉洋さん
弟のブースにTOKIOの長瀬智也さん
でやれば、笑いとシリアスで
ラストがグッと来たような気がする。

ともあれ、別のキャストで見てみたいし、
オリジナルも見てみたい気もする。

2013年1月20日(日)
EWA CHOR 第54回定期演奏会感想

去年もそうだったが、
部歌がよくハモる。

続く第一ステージ。
僕が知っているのは一曲。
作りが難しい曲を、丁寧に仕上げていた。
ハーモニーの推移もよくわかった。
これ以上を望むとしたら、
内容の解釈と表現を、日本語の曲並みに
突き詰めて欲しい。
ここまで出来るのなら。
ここらは指揮者の力量にかかってくるだろう。
彼女が振る日本語にも興味はあるな。

第二ステージ。
クラスターのある曲を暗譜とは・・・・。
指揮者も奏者も落ち着いて見える。
一ステでもそうだったけど、
ハーモニーの芯がぶれない。
なので、聴くことに集中できる。
ハモるので音のぶつかりも効果的。
ともすればわけの分からなくなる危険性のある曲を
最後まで聴かせてくれた。
歌い手の声の勢いは、最終ステージ並みである。
すっかり唸ってしまった。

休憩後、第三ステージ。
実に面白かった。
初っ端にゴレンジャーの替え歌。
呆気にとられる。
秘密結社の将軍が部下を労うイイヒトで
ツボにハマる。

音楽のアレンジも良い。
合唱もキチンと演奏している。
(普通は結構グダグダになりがち)

最後、敵がヒーローを諭し、
最大の敵も改心して味方に(笑)。
ドラゴンボール、ワンピース世代ということか。
それとも、敵側にも、一分の理があるということが
彼らの世代の共通認識なのか?
などと考えながら、大いにに笑わせてもらった。
最後の「季節へのまなざし」パロディは
ひっくり返ったし。

最終ステージ。
圧巻。先生が本気で振っているのが分かる。
演奏者に対する本気、学生と思ってないのが
後ろ姿からも分かる。

動きが伴う場面でも、迷いがない。
本当に宮沢賢治の描いた、その場面になっている。
終曲の「祈り」で涙腺が崩壊。
テノールのソロ?ソリ?でやられてしまった。
それに伴い、周りの合唱も乗ってくる。
演奏会でこんな感覚に襲われたのは
いつ以来だ?

高校生がこれを聴いたら大変やろなぁ。
演奏でこんな可能性があることを聴いてしまったら。
府立大入学を目指しても何ら不思議はない。
それほどまでの演奏会だった。

学生の定期演奏会は、
今回の奇跡のような瞬間に立ち会える反面、
学生ゆえに、メンバーが年毎に変わっていく
寂しさも感じる。

それこそ、奇跡のように美しい夕焼けのように、
その場で、その瞬間しか、体験できない。
二度と同じものはない。
その移ろいが、年毎にメンバーが変わって行くことと
あいまって、余計に感じてしまうのかもしれない。

でも、それだけに、強く記憶に残る、
ライブの醍醐味を久々に感じた演奏会でした。
ありがとう、僕も頑張ります。

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