日々つれづれ
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2013年5月3日(金)
映画放談「HK」

ずいぶん前の漫画原作の映画化。
見る人を選ぶ映画だと思う。

はっきりいえばお下品な映画だ。
しかし、僕はすっかりハマってしまった。
主人公のコスチュームにやや問題をはらんではいるが
難点はそこだけで、
バカバカしさ、作品の質からいえば、
一級品だ。

出ている俳優陣の本気っぷりは、
見るものを惹きつけてやまない。
主人公を演じる、鈴木亮平さんは
もう、まさにHKそのもの。
実写化に貢献した最大の功労者だろう。

だが、僕が特に驚いたのは主人公を苦しめる
最大の敵役である安田顕さんだ。
北海道の人気タレント、水曜どうでしょうの
リーサルウエポンで知る人ぞ知る存在。
(僕は魔神の足を引っ張る、小岩井農場での
鼻から牛乳withBGM小椋佳が忘れられない)

もう、この人、本当は
こういう趣味があるんじゃないか?
と思わせるほどの、振り切れた演技。
NHK出禁になるんじゃないか?
と不安にさせるほどの鬼気迫る様子を見せてくれた。

ある意味において、大泉洋さんを超えた
と個人的には感じてしまった。
もう、この人は何の役でもできる!
過去にはNHKの大河ドラマで、
小早川秀秋役までやってるわけだし。

最後の戦闘シーンなんか、
物凄くバカバカしいはずなのに、
大笑いしながら、少しカッコいいと思ってしまう。
そしてこれはこれで・・・・。
中毒性の高い作品だ。

惜しむらくは、パンフレットがないこと。
しかし、この映画を、
紙に印刷されたものとして残すのは、
流石に出演者的には厳しいものがあったのかもしれない。

それとこの映画は、おそらく、あるアメコミ原作の
ハリウッド映画に対するオマージュになっている。
僕はオープニングで気が付いて、
爆笑してしまった。

見る人を選ぶ映画ではあるが、ある意味においては、
名作だと思う。
Have Fun!

2013年5月19日(日)
名古屋ビクトリア合唱団 第9回定期演奏会

最初はビクトリアのモテットから4曲。
名前を冠しているのは伊達ではない演奏。

乱れそうになる刹那に持ち直す。
響きとしては安定してきた印象。

個人的には3曲目のNigra sumを興味深く聴いた。
モンテヴェルディのヴェスプロで
同じ歌詞の曲を何度か歌ったとがあり、
曲想の違いが面白かった。

ここで一旦退場、オルガンとリュートが入る。
モンテヴェルディの6声のマニフィカト。
と、ここで妙な緊張感に囚われてしまった。
別に自分が歌うわけでもないのに。
オルガンとリュートの響きで
その世界に誘われるのだけれど、
2曲目で、その世界は破られた。

僕はいささか、この曲を知りすぎてしまったように思う。
何度も演奏の機会に恵まれたおかげで、
観客にも関わらず身体が反応してしまうのだ。

更に個人的なことを書けば、
ここ1週間ほど、風邪を患い、治りかけの状態だ。
(なので打ち上げには参加せず、帰りの新幹線で書いている)
歌わなくてもイイが、歌えない身体だ。
でも、曲に身体が反応し、
歌わなくてもイイのに、歌えない自分の状態に勝手に落ち込む・・・
と何とも忙しい状態での鑑賞になってしまった。

長く書くまでもなく(書いちゃったが)
一言でいえば冷静に聞けなかったのだ。

それでも敢えて書くと、
ソロの人は、良かったと思います。
逃げなかった。これだけでも、上出来です。
お客さんはこの曲の良さを堪能出来たと思います。

ただ、唯一、パートとしてのテノールはもっと頑張ろう。
僕らは目立つんだよ。好むと好まざるとにかかわらず。
具体的にはピッチが届かなかった箇所が多かったのは残念。

ここで休憩。
肩はガチガチ、すっかり疲れ切っていた。
歌ってないのに。

次は、瑞慶覧尚子さんの
沖縄のうたによる混声合唱組曲「うっさ くわったい」。
沖縄風の衣装が良かった。
そして、三線の二人も良かった。
PAなしであれだけ聴こえるのにも驚いた。

演奏はとても良かったです。
お客さんも喜んでいたと思います。
5曲目の「月ぬ美しゃ」は
宮沢賢治の曲を聞いている錯覚に襲われた。

以下は気になった点。
ホタルの光が赤いのはどうだろう?
沖縄のホタルは赤い?
徳利とおちょこ、四角いまま?
切り抜く時間がなかった?動きは良かった。
間違っても、間違ったリアクションをしない。
素知らぬふりをするのも必要。

知らない曲なおかげで、楽しめた。
自分の因果な性格が恨めしい。

ここで再度休憩。

上田真樹さんの
混声合唱のための組曲 夢の意味。
シュッツでは、調べると2010年の邦人シリーズでやっている。
(もちろん調べるまでいつやったかなんて覚えてない)

上手くまとまっていた。
ハモリも良かった。
他所ではできない演奏だった。
以下気になった点。
ただ、前のステージの影響か、
声の疲れか、
決める部分で、決まり切らない印象があった。
ピッチがほんの少し届かないとか、
クレッシェンドが行ききらないとか。
ただ、そうだから悪いということはない。
強いて言うなら惜しいか。

アンコールのビクトリア8声のアヴェ・マリアは
オルガンとリュート付きだった。
いつものより全音低かったんだろうか?

アカペラと違って、これはこれで新鮮だった。
オルガンとリュートのアシストは
今回の演奏会に花を添えたと思う。

団としても次の段階に入ったんだろうな、という印象を受けた。

下半期に向けてどうなっていくんだろうか?

2013年5月26日(日)
この1週間

火曜日、いつもお借りしている教会が使えなくなった。

翌日、マンスリーコンサートの準備に行ってみると、
教会の祭壇に遺影がかけられていた。
親族と思しき方々の最後のお別れの後、遺影はしまわれ、
その夜、マンスリーコンサートが行われた。
連続演奏の賛美歌のあと
リクエストの
44わのべにすずめ、
祝福が演奏され、
最後は鴎が鳴り響いた。

その週末土曜日、
同じ会場で若い二人の結婚式が行われた。
いつもと違い、幼い子供、赤ちゃんも参加の式で
賑やかだった。
牧師さんの説教の所で、
その週亡くなられたのは、
先輩の牧師さんで、
愛についての説教が非常に上手だった
牧師さんだったとのこと。
子供が賑やかだったので、
参加者にその話が何処まで聞こえたか
分からない。
賛美歌で、スタンバりつつ、
得心しながら聞いていた。

そして日曜日、原体剣舞連が響き、
最後に華厳経が鳴り響く。

ここはやっぱり日本だな。

2013年5月27日(月)
分岐点

毎年、NHKの大河ドラマは何かしら非難があるけど
僕は毎年、面白く見ている。
八重の桜の面白いところは、
幕府側それも幕府に愚直なまでに忠誠を誓う、
「ならぬことはならぬ」という不器用さを持つ
会津藩視点というところだ。

動乱でざわめく京の都と
遥か離れた会津の様子の対比が、
面白いのだ。

中央での動乱が、どのようなタイミングで、
どれだけの時間がかかって伝わるのか、
故郷との連絡はどのように取られるのか、
少なくとも今まで見たこと無い視点で
幕末を描いているというところだけで、
今後どうなっていくのか楽しみだ。
【結末を知ってはいるけど】

もう一点、
長州、会津、薩摩を始めとする諸藩、
そして徳川が、
武力と時期だけで、兵を動かすのではない、
一番重要なことが、
帝に弓を引くか否か、
朝敵になるか、官軍となるか、
それが最も重要な要因になっていることだ。

この日曜日の放送の段階で、
会津がこだわっているのも、
朝敵という汚名を濯ぐことで、
そのことが要因になり
やがて徹底抗戦を行なっていく流れに描かれるようだ。

朝敵か否か、
帝に弓をひいてはならないという価値観。

幕末から明治にかけて、
日本を二分する血で血を洗うような、
大規模な内乱が起きなかった要因の一つに、
このことがあったんだなぁと
今更ながらに思い至った。

戦後に、
【日本人同士】の無益な殺し合いがなかったのも
おそらく、同じ要因だろう。

それは今の日本の根底にも
【日本人】の心根にも
通奏低音のように流れているように感じた。

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