''「おはじきが並んでいます。左から4番目から9番目までを取りました。何個取ったでしょう?」'' これを皆さんはどうやって教えるでしょうか? **よく見られる教え方 [#y65b8f4d] 私が知る限りでは、小学校では多くの場合、最終的に以下の式で教えられると思います。 $9-4+1=6$ 最後の"+1"をどう教えるのか、ここがミソになるでしょう。 しかし、ここで論じたいのは、良い"+1"の教え方ではありません。 &color(red){この立式はよくないのでは?と言いたいです。}; **私の提案する教え方 [#jeba6770] 最終的に、以下の式になるよう、教えるべきだと私は考えています。 -1つの式ならば$9-(4-1)=6$ -2つの式ならば$4-1=3,~~9-3=6$ イメージとしては、以下です。 #ref(4-9.jpg) つまり、9個から、4番目の手前までを取り除く。 **なぜ、この教え方を薦めるか? [#m19cbe78] 2つあります。 まず、私には、"+1"の意味を教えるより、「4個目の手前までを取り除く」のイメージを教える方が簡単ではないかと思うからです。 たとえば「9個は多すぎるね。何個多いだろう?」と問えば、一定数の子どもは正しい式・解答に自力でたどり着けるでしょう。 そしてもう一点。この教え方ならば高校数学に繋がるのです。たとえば、次の値はいくつでしょう? $4^2+5^2+6^2+7^2+8^2+9^2 (=\sum_{k=4}^9 k^2)$ 普通、この計算は$\sum_{k=1}^n k^2 =1^2 +2^2+3^2 \cdots +n^2=\frac16 n(n+1)(2n+1)$を用い、以下のように行います。 $4^2+5^2+6^2+7^2+8^2+9^2$ $=(1^2+2^2+3^2+4^2+5^2+6^2+7^2+8^2+9^2)-(1^2+2^2+3^2)$ $=\frac 16 9\cdot 10\cdot 19 - \frac 16 3\cdot 4\cdot 7=271$ $=\frac 16 \cdot 9\cdot 10\cdot 19 - \frac 16 \cdot 3\cdot 4\cdot 7=271$ これはまさに「$4^2$の手前までを取り除く」なのです。 私の経験では、この計算のやり方を高校生に教えるには一手間かかります。$\sum$記号に不慣れなことも重なり、混乱しやすいのですね。 ですから、まず、「4から9まで整数は何個あるか?」という簡単な問いで$9-(4-1)=6$を理解させた後、説明します。 小学校の段階で$9-(4-1)=6$のやり方に慣れていれば、この手間はかからないのですが、特に中学受験の参考書を筆頭に、"+1"をあたかも公式のように教えます。これは、なんとかならないものか、とずっと思っています。 **最後に [#u57c511d] 例題です。 「9人が一列に並んでいます。左から4番目の人は、右から何番目でしょう。」 右から数えていくと、左の3人を数えませんよね。ですから、やはり$9-(4-1)=6$であり、答は「6番目」です。 小学校の算数での教え方が、早くこのやり方で統一されないかな、と思っています。