「おはじきが並んでいます。左から4番目から9番目までを取りました。何個取ったでしょう?」
これを皆さんはどうやって教えるでしょうか?
私が知る限りでは、小学校では多くの場合、最終的に以下の式で教えられると思います。
$9-4+1=6$
最後の"+1"をどう教えるのか、ここがミソになるでしょう。
しかし、ここで論じたいのは、良い"+1"の教え方ではありません。
この立式はよくないのでは?と言いたいです。
最終的に、以下の式になるよう、教えるべきだと私は考えています。
イメージとしては、以下です。
つまり、9個から、4番目の手前までを取り除く。
2つあります。
まず、私には、"+1"の意味を教えるより、「4個目の手前までを取り除く」のイメージを教える方が簡単ではないかと思うからです。
たとえば「9個は多すぎるね。何個多いだろう?」と問えば、一定数の子どもは正しい式・解答に自力でたどり着けるでしょう。
そしてもう一点。この教え方ならば高校数学に繋がるのです。たとえば、次の値はいくつでしょう?
$4^2+5^2+6^2+7^2+8^2+9^2 (=\sum_{k=4}^9 k^2)$
普通、この計算は$\sum_{k=1}^n k^2 =1^2 +2^2+3^2 \cdots +n^2=\frac16 n(n+1)(2n+1)$を用い、以下のように行います。
$4^2+5^2+6^2+7^2+8^2+9^2$
$=(1^2+2^2+3^2+4^2+5^2+6^2+7^2+8^2+9^2)-(1^2+2^2+3^2)$
$=\frac 16 \cdot 9\cdot 10\cdot 19 - \frac 16 \cdot 3\cdot 4\cdot 7=271$
これはまさに「$4^2$の手前までを取り除く」なのです。
私の経験では、この計算のやり方を高校生に教えるには一手間かかります。$\sum$記号に不慣れなことも重なり、混乱しやすいのですね。
ですから、まず、「4から9まで整数は何個あるか?」という簡単な問いで$9-(4-1)=6$を理解させた後、説明します。
小学校の段階で$9-(4-1)=6$のやり方に慣れていれば、この手間はかからないのですが、特に中学受験の参考書を筆頭に、"+1"をあたかも公式のように教えます。これは、なんとかならないものか、とずっと思っています。
例題です。
「9人が一列に並んでいます。左から4番目の人は、右から何番目でしょう。」
右から数えていくと、左の3人を数えませんよね。ですから、やはり$9-(4-1)=6$であり、答は「6番目」です。
小学校の算数での教え方が、早くこのやり方で統一されないかな、と思っています。