>>[[4〜本との出会い>デジタル教科書・教材/私見4〜本との出会い]] 私見4で、本に沿って書くと書いたのですが、1回だけ脱線します。 ''※(2012/11/24追記)すみません、結局、本に沿って書けずじまいになってしまいました。お詫び申し上げます。'' #contents ***導入年齢は10歳 [#tcf5a475] 私は、デジタル教科書を導入するのは、 小学4年から、または、小学5年からが良いと考えています。 以下、そのように考える理由を記します。 ***低学年になればなるほど、デジタル教科書は作りづらい [#p5220ead] 今、デジタル教科書を推進する人たちも、小学校1年生での導入はあまり考えておられないようです。 実際、小学1年、2年に合わせた -重量の軽さ -文字の大きさ を考えるだけで、大変難しくなります。 文字を大きくすればディスプレイも大きくなる。すると重量を軽くしづらい。 これだけで、子供に適したデジタル教科書をデザインすると、求められる性能は高くなり、価格はぐっと高くなります。 そのうえで、健康に対する影響も強くなる。 ***私が10歳と主張する理由 [#q3e03f23] 「''10歳になると、子供は抽象的に思考する能力を持ち始めるから''」 これが、デジタル教科書は10歳から与えればよいと主張する根拠です。 子供の脳に対する本をいくつか読むと、「人間の脳が抽象的な思考を始めるのは、10歳前後からである」といった記述を見かけます((本来はこれを裏付ける研究結果・初出論文を提示するべきなのですが・・・すみません、もし、有用な情報をご存じの方がいらしたら、教えていただけると嬉しいです))。 脳波の面から見ても、その頃から大人に近い律動波(α波)がはっきりしてくるそうです。これが、基本的な神経回路が整ってきた証拠と考えられるということです((日本数学協会での議論より))。 ***身の回りの10歳前後を観察してみて [#zd68cc5d] 私は学習塾で小学生も教えています。 その経験から、小学4年、5年になると、抽象的な話が通じるようになる実感を持っています。いくつか具体的な例を挙げますと -4年生の子(10歳)が「前からすごく疑問だったけどなんで面積って縦×横で計算できるの?」と聞いてきたので説明した。 -文章題で線分図を使う説明は、2年生にはなかなか通じませんが4年生・5年生で通じやすくなる。 --蛇足ですが、2年生が文章題で「足し算」「引き算」を区別する訓練は、数直線を使わない方がよいと思うのですが・・・ -このあたり、指導要領は配慮されています。 --分数の概念は抽象的思考が無いと分かりません、4年生で初めて出てきます --文字式も抽象的な概念ですが、4年生までは出てきません。 --逆に、この「抽象的な思考が必要になる」4年生・5年生から算数が苦手になる子は多いです。 すべてこれらは経験論です。明確な統計データはありません。 皆さんはどのような実感をお持ちでしょうか?? ***脳についての知識は重要 [#zc9be8fc] このサイトの「私見」で繰り返し述べていますが、 このデジタル教科書についての議論には、脳科学についての知識を深めることが必須だと感じています。 一方で、脳科学には分かっていないことがまだまだ多すぎるのですよね。 第一線の研究者がまだそう言われます。同時に、だからこそやりがいがあるのだ、と。 既に分かっていることは活用して論を固定し、分かっていないことは経験論から推測する。 今後、教育体験・指導体験のみに基づく主張ではなく、 より客観的な視点からの主張が深まり、真に、子供に必要な道具が生まれたら、と願っています。 >>[[私見6〜「不特定多数の生徒個人情報」に求められるセキュリティ>デジタル教科書・教材/私見6〜「不特定多数の生徒個人情報」に求められるセキュリティ]]へ進む >>[[私見6〜「生徒個人情報」のセキュリティ>デジタル教科書・教材/私見6〜「生徒個人情報」のセキュリティ]]へ進む