[[デジタル教科書・教材]]

※この記事の「目次」を追加、私的実験2へのリンクを追加(2010-12-12)
【目次】
#contents
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#ちなみに、「デジタルノート」だけの機能を持った製品ならば、
#既に多数、優れた製品が存在しています。
#Booble Boardとか、Technoteとか、ASUS社の製品とか。
#ただ、今回は「教科書も教材もノートもすべて1つのデジタルで完結している」ことを話題にしています。


まず、どんな感じでデジタルな勉強をしているか、です。ちょっと恥ずかしいですが・・・公開してみます。
2通りの勉強のやり方を例示します。

1通り目は
-iPad内にある大学の動画を視聴、ときどき画面を止めて画面全体を保存
-保存して溜めた画像を、適宜覚えながらノートに書き写していく
--もちろん、普通に、動画をパソコンで流しながら、ノートを取ればいいのですが。一応、iPadで完結した学習のやり方と言うことで。

2通り目は
-授業でとった紙のノート、メモだらけでまとまっていないノートを見ながら
-色を使い分けながら、まとめノートを作っています。

#youtube(dTm5eRrds5M)


***ノート書きは紙でないとだめか、どうか? [#caf0ad1a]
結論から言えば、紙でなくても可能です。ここでいう「可能」とは・・・

ノートを取る時の目的には、概ね以下の3つがあると思います。
-とりあえずメモを残すこと(後で見ることが出来ればよい、頭に残る必要はない)
-書きながら覚えること(後で見ることが出来、頭の中にも書いた内容を残す)
-書きながらまとめること(後で見ることが出来、内容をまとめながら頭の中に残す)

この3つのいずれも、デジタルノートで可能です。
しかし、ここでは主に、下の2つを取りあげます。


***「書きながら覚える」ために必要なこと [#y1d983f7]
私がやってみたところでは、「書きながら覚える」ためには次の要素があればよいようです。
-''タッチペンが触れたその場所に書いた跡が残ること''
-''書くことに集中できるくらいの、書き心地''
-''書き込みが「能動的」であること''

以下、3点について細かく書きます。

***「タッチペンが触れたその場所に書いた跡が残ること」 [#ne45bf0a]
どうやら、「書いて覚える」には
「''書いた結果がすぐ目の前にあること''」が必要なようです。

もちろん、タッチパネル型のPCならこの点はクリアです。

もう少し詳しく書けば、「書いて覚える」ときには、
「書く内容を頭の中で考え」
「手を動かして頭の中から一旦取り出し」
「その結果を目から頭へ再入力する」
というフィードバックが必要なようでした。そのためには「書いたまま表示」が必須ですね。


***「書くことに集中できるくらいの、書き心地・反応の速さ」 [#l901dc63]
正直なところ、iPadのタッチパネルの反応は、まだ不満が残ります。
-細かい文字はまだ書けないし、(上で紹介した動画中における、文字の大きさの実測は、英語なら7,8mm弱四方、日本語なら1.5cm四方くらいです。)
-時々反応が鈍いし、(最後、動画の2:40頃は、少し反応が遅れています)
-ペン先だけでなくて、パネルに触れている手首を認識してノイズができるし(動画の1:20頃を参照)
(このノイズを防ぐ「リストプロテクション」という機能は、アプリに付いていますが、まだまだですね)

しかし、iPadは、私にとっては実用レベルです。書くことに集中できます。
初めは上記の点が少し気になっていましたが、徐々に、無意識下へ消えていきました。

たとえば、暑い日に紙でノートをとっている時、手首の汗でノートが湿らないか、
気にしながらノートをとることがあります。
だから手首のあたりを気にしながらノートをとる、
しかし徐々に気にせずにノートを取れるようになる、そんな感覚に似ています。

もっとも、人によっては、集中できないくらいの書き心地・反応の遅さかもしれません。
だから、他人に「買って試してみたら?」とまでは薦められません。
これは、今後5年くらいでの技術の進歩を待ちたいです。



***「書き込みが「能動的」であること」 [#e29b3b66]
書いて覚える、頭に記憶を残す。''これは、能動的''な操作です。
ですから、学習を目的としてデジタルにノートを取る行為に、機械がしてくれる自動的なお節介は、相性が悪いです。

#hr

たとえばこんな感じで、機械が次へ次へと自動で送ってくれる機能があります。

#youtube(0cTUTONAyx0)

この機能は、たとえば「とりあえずメモを残す(後で見ることが出来ればよい、頭に残る必要はない)」ノートを取るときには便利でしょう。

しかし、「書いて覚えたい」時には、自動的に次へ行くという反応が頭を混乱させ、イライラさせます。
「まだ勝手に次へ行かないで」という瞬間が、何の前触れもなく現われます。

もっとも、このソフトのように、自動送り機能をON/OFFできれば問題ないですけれども。
子供に使わせるならば、「書くのは能動的だから、機械が勝手にやってくれる行為とは相性が悪いよ」と伝えていくことは必要になると思います。



***デジタルの意外な利点 〜 色分けが簡単 [#y37c7e65]
デジタルノートをやってみて、一つ意外な利点がありました。
それは、色分けが簡単ということです。

冒頭の動画では、私は数種類の色を使ってデジタルノートを使っています。
しかし、紙でノートを取っていたとき、私のノートはほとんど黒1色、暗記科目は黒と赤の2色でした。

色分けしてノート取る方が良い、と分かっているのですが、
「色ペンを持ち歩く」「ノートを取る時にペンを持ち替える」が煩わしくて、結局私には定着しませんでした。

しかし、デジタルノートならば上記2点は問題ありません。
色の切り替えは2回画面をタッチするだけですし。

というわけで、私は、生まれてはじめて、自然に色分けノートを作ることが出来ています。
でもこれは、私個人の事情かもしれません。


***デジタルの重大な欠点 〜 画面が一つしかない [#i5d716ed]
動画を見ていただいて、1つ目の勉強のやり方では、画面を切り替えるのがめんどくさそうに感じませんでしたか?
一応今は、「画面を切り替える間に書くべきことを頭の中へたたき込む」ことでこの不便さをメリットへ活かしています。

しかし、''はっきり言って、画面が1つしかないのは不便''です。
「教科書もノートも一つの画面」ではなく、
''「教科書と、ノートが別々に存在する」方が、圧倒的に有利''です。



***デジタルの今後検証すべき問題 〜 視力問題 [#o6601fef]
上で挙げませんでしたが、一つ、デジタルノートに限らず、デジタル全般に対して現在調査されている問題があります。
それは、デジタルな画面が子供の視力にどう影響するか、です。

韓国ではひとまず問題ないとして、デジタル教科書の導入が始まりました。
このあたりは、海外の導入後の報告に注意したり、国内できちんとした検証が必要になるでしょう。


ちなみに、私個人は、iPadを明るさ最小で使っています。それで不便を感じない明るさだからです。
そのおかげか、目の疲れを感じたことはありません。


***「ノート書きは紙が向く」のかどうか? [#hfd6f7c7]
まず、紙の利点は
-手軽
-書いた結果がノートにすぐに反映される(0秒)
-安い
-教科書などテキストと別画面を提供する

…など、多数あります。

では、デジタルノートの利点は?
-すべてが1冊にまとまってくれる(あの教科はあのノート・・・とかがない)
--無くしたら全部無くなる、というリスクもありますが
-色分けしてノートを取りやすい


欠点は?
-書いた後の反応が少し遅い
--優れたアプリならば、0.3秒以内にはたいてい収まりますが
--いずれにしても技術の進歩で克服可能でしょう
-細かい文字はまだ書けない
--技術の進歩で克服可能でしょう
-ペン先だけでなくて、パネルに触れている手首を認識してノイズができる
--技術の進歩で克服可能・・・かな?
-機械が勝手なお節介をすることがある
--(これはON/OFF機能を付けたうえ、機械のお節介には良い点悪い点があることを子供に伝える)
-画面が一つしかない
--子画面などで問題は緩和されるかもしれませんが
-視力問題
--現在調査中

このくらいでしょうか。


***一つの個人的な結論として [#v4a35f5a]
私は、子供に対して、デジタルノートへ全面的に移行することは、反対です。

しかし、「教科書にメモを書きこむ」や、「いくつかの教科についてノートを取る」
ということは、あってもいいと思います。
-前者は、テキストをデジタルにするなら書き込みもデジタル、ということ
--この、デジタル教科書に直接、デジタルで書きこむことは既に可能です。この記事の最後にそういうスナップショットを載せました。
-後者は、デジタルノートも紙のノートの補助としてあってもよい。


以上をまとめて、私の結論は以下です。
-メインは紙のノート
-オプションとしてデジタルノートを用意
-電子教科書・教材には直接書き込みが可能

もちろん、上記の3通りでノートを取ることを基本にした上で、
それぞれの子供、それぞれの先生が、細かい使い方を決めていけばよいかと思います。


***使っているアプリ [#ae5d3e05]
-Penultimate(1つ目の勉強で使っているノート)
http://itunes.apple.com/jp/app/penultimate/id354098826?mt=8
これはタッチペンで書いたままに書けるタイプ。
思いついたことをどんどん書きたいタイプで有効
(13th-noteの問題を作る時のメモにも使っています)

&ref(penultimate1.jpg);

&ref(penultimate2.jpg);

-Note Taker HD(2つ目の勉強で使っているノート)
http://www.softwaregarden.com/products/notetakerhd/
これは、書きこみたい部分を拡大して書きこめるタイプ。
ノートまとめなどで有効。
(ただ写すだけでなく、まとめながら写すときとか)

&ref(notetakerHD1.jpg);


ちなみに、PDFファイルを背景として読み込めるので、こんなこともできます。

&ref(notetakerHD2.jpg);

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