No.583 '05/3/29

イギリスの響き?


「京都モンテヴェルディ合唱団」による「ヴェスプロ」の演奏が近づいてきました。
仕上がりも上々、是非たくさんの方々に聴いて頂きたい、見て頂きたい(!)と思っています。
「見て頂きたい!」と書いた理由はマルチ音響を今回特に目指してのこと、曲ごとに各声部の立ち位置を変えて、曲の構造がくっきり見えてくるようにとの意図なんです。
これ、今までで一番うまくいった例になるのでは、と少し自負する出来栄えとなりました。(まぁ、実際のアルティホールではまだ試していないのですが、多分大丈夫でしょう。(笑))

先週の土曜日、京都で練習をしたのですがその時ゲストがありました。
団員の一人がお世話になったオーストラリアのホストマザーが来られたんですね。
お名前がNaureen Taylor(ノーリン・テーラー)さん。
帰国が迫っているということで、残念ながら本番は聴くことができず練習を見学されました。
テーラーさん、練習後の感想で少し私自身驚いたことを仰ったんです。

「イギリスのカテドラルで聴いているような響き」というコメントなんですね。
少し離れたところにいたものですから、きっちりと聴き取れなかったのですがそんな風に仰ったようです。
これ、ギクとしたんですね。
テーラーさんがイギリス出身かどうかは判りません。
家系がそうなのかもそうでないかも判りませんが、こんな風に感想を述べられたのがいたく私の心に波紋が広がりました。
演奏会を沢山してきて数多くの感想を頂いていますが、「イギリスのような響き」とズバリ言って下さった方はいないと思います。それもオーストラリアの方に。

ガーディナー指揮「モンテヴェルディ合唱団」の演奏を団員が聴いているということのために「響きも似た」ということではないと思います。
これはもう私自身の「響き」が、今ある多くの響きの中で「イギリス的な」ものであるということなのですね。
古楽の演奏家を多く配しているイギリス、オランダ、ベルギーなどの響きを当初に追ってきた私の帰結。
そういえば、パイプオルガンを弾いていたときにイギリスのペダル奏法の理論に新鮮さを感じ、取り入れようとしたこともありました。
イギリスの学究に興味と、そして意味を見いだしたのでしょうね。

私の理想、それは「イギリス的な響き」(テキストの鮮明化、楽曲構成の立体化、ハーモニーの純正化を目的として)の延長線上に、「日本的」なものを加えることにあります。
「ヴェスプロ」を聴いて頂き、(日本語ではない曲に)イギリスの響きを聴いているようだ、との感想。
驚いたと同時に意図達成とのちょっと嬉しい思いです。
しかし本当は、『「京都モンテヴェルディ合唱団」の響きですね』、と言わしめれば一番良いこと。
それにしてもいきなりの嬉しいゲスト。
とても刺激があった練習でした。



No.583 '05/3/29「イギリスの響き?」終わり