No.690 '12/03/03(記)

「名古屋大学医学部混声合唱団」第55回記念定期演奏会


2012年1月29日(日)三井住友海上しらかわホールで開かれた「医混」の定演。
55回目を迎えるという節目の記念演奏会です。
50回目の記念演奏会に次いで(委嘱作品:千原英喜「良寛相聞)学生たちの希望に添って上田真樹さんに委嘱。
当日は学生たちの驚きのガンバリ、そして熱のこもった演奏で大成功のうちに幕を閉じました。
事情は後で書きますが、アクシデントがあったにもかかわらず素晴らしい感動の一夜でした。
(写真はいずれもリハーサル時のものです)

【第一ステージ】作曲:Josquin des Prez 曲:Missa " Pange Lingua "
指揮:本多信明

私が「医混」に行くようになってから第一ステージはルネサンスの曲を歌うようアドバイスしています。
もちろん、その意図は合唱の基礎である「ハーモニーづくり」にあります。
厳格な様式でもって合唱の真髄を体験してもらいたいとの思いです。日本人にとって難しい課題が沢山あるのですが「医混」はその課題を年々クリアーしての演奏となっているのが頼もしいです。
今年もこの難曲を美しいハーモニーを基調にしながら(本当に美しく響いていました。「医混」の色になりましたね)、時には不安定なところも出てしまうのですが様式観もしっかり押さえ、横の流れも抑揚を付けながら「聴かせる」演奏となりました。

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【第二ステージ】作曲:信長貴富 曲:「こいうた 」 ピアノ:大熊仁実
指揮:竹村直晃
「実直な演奏」というのが印象に残ります。信長貴富さんの曲は人気がありますね。この曲もハーモニーづくりやリズムなど難度の高い作品。
棒のテクニックも様々に駆使しなければならないのですが、微動だにしない安定を感じさせる竹村くんの棒はとても好ましく見えました。
棒を助け、一丸となって演奏する「医混」は聴いているものに今流行の「絆」を感じさせる迫力があります。
指揮者を含め、団員一人一人の聡明さが光ります。

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【第三ステージ】作曲:鈴木憲夫 曲:混声合唱曲「永訣の朝 」 ピアノ:大熊仁実
指揮:本多信明
若い人たちが「宮沢賢治」を歌う。それだけで私は心が震えます。ましてや鈴木憲夫さんの曲となれば尚更です。
しっとりとした哀しみが伝わる良い演奏だったと思います。
慟哭の熱い息がもう少しあってもよいかとも思いましたが、まぁそれはそれで若い人たちの持ち味かもしれませんね。

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【第四ステージ(OB/OG合同ステージ)】
作曲:上田真樹 曲:混声合唱曲「遠くへ 」(詩:谷川俊太郎) ピアノ:木下亜子
指揮:当間修一
委嘱作品の最終稿が配られたのが前日(!!!)。朝に一曲、夕方に一曲。それまでに頂いていた曲は練習していたもののこの二曲は本当に前日での練習のみでした。
一応そうなっても大丈夫なように人の手配や様々な準備はしていたのですが、流石にこの事態はかつてなかったことでした。
原稿が届いてからの動きはスピーディー。(インターネットでの受け取り、ファイル出力、そして楽譜コピーの作業連携はチョットした感動でした)
苛立ちや焦りなど皆ありませんでしたね。これには想像していたとはいえ爽やかな感動です。(今回のOB/OGの存在は力強かったですね)
自信に満ちた歌の響きが立ち上がりました。
当日の演奏も立派でした。客席の恐縮しておられた上田真樹さんに向かって高らかに「生命の賛歌」を歌いきりました。
歌い終わった時、確か「ブラボー」がかかったと思うのですがホント「ブラボー!!!」でしたね。

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終演後の楽屋前で撮った写真です。ピアニストの木下亜子さん、作曲家の上田真樹さん、そして私です。

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ドキドキハラハラの本番でした。でも写真の笑顔でどのような本番だったか想像して頂けると思います。



No.690 '12/01/29「「名古屋大学医学部混声合唱団」第55回定演」終わり