今日は《特殊な合唱団》ということについてです。
合唱団の成立の仕方には
*学校の卒業生による合唱団(いわゆるOB、OGの合唱団)
*大曲主義の合唱団(オーケストラとの共演がうりもの)
*上に似ていますが、第九を歌う合唱団
*合唱ならば何でもこなすというプロの合唱団
など他にも色々あります。
どれも、合唱が好きな人達の集まりです。
そして、それらに集う人達は、気に入った合唱曲ならば何でも射程距離にいれて演奏したいと思っているようです。(しかし、実際は難しい問題が沢山あります)
シュッツ合唱団の成立はそれらとは違いました。ちょっと特殊なのです。
創立当時、まだ一般的でなかったバロック音楽から出発したことと大いに関係するのですが、全く新しい音楽観からの始まりだったのです。
どうしてバロック音楽から入ったのかはいずれじっくり書いてみようと思っていますが、とにかく、音楽界の大きな激流のなかでこの合唱団は産声をあげました。
ロマン派の演奏スタイルの見直し、そして、そこからの脱却。それがクラシック界の大きな流れだったのです。つまり、私の提唱した合唱団は何もかもが模索で、新しい「響き」「様式」を創造していくことが目的だったのです。
演奏法から研究しなければいけませんでした。しかし、オルガン音楽から入った私は、時流のなかでも他の仲間に比べ、自分の響き、スタイルを早くからイメージし、模倣でなくこれらの音楽を追求することができたように思います。
今ではCDなど少しは他の演奏などを聴くことによって自分の演奏を確認したりすることはできますが、私が始めた頃はそれこそ自分のイメージだけにたよっての試行錯誤だったのです。
皆さんにお渡しした合唱団の説明のところに〔当間修一の理念を実現すべく組織された合唱団である〕との記述は上のような事情があってのことです。
ですから私たちの合唱団は一人の指揮者を中心とするパイオニアとしての性格が強いのです。
世の中も少しは変わり、私たちの音楽も認めてもらえるようになりました。
しかし、まだまだ真の意味で理解して頂けたとは思っていません。
安定するためにはもう少し時間がかかりそうです。
シュッツやバッハを歌うことが歌謡曲やポップスのような理解度で多くの人達から支持されるとは思われません。まだまだ特殊なものとして見られています。
パイオニアとは辛いものです。たえず頑張らなければならないからです。緊張が続きます。
エネルギッシュでなければ続けられません。
合唱団員の中にはちょっと疲れて、少し休みたいと思っている人がいることを想像します。その人たちには休んで頂きたいと本当に思います。人間無理をすると何処かがおかしくなるものです。英気を養うためにも休むことは必要不可欠です。休んで頂くこともできるという気持ちにゆとりある合唱団になればいいと思っています。私たちは目先にある欲のために活動してはなりません。真の意味での理解者を作ってい
かなければならないからです。
合唱団としての理想は、音楽のジャンルの趣味が同じ、そして実力に差がなく活動目的が同じ。練習時間が多くとれる。活動の場が多くあることです。
この理想を追って私は現実の問題と立ち向かわなければならないのです。
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