4月25日 加藤大治郎


加藤大治郎が死んだ。享年26歳。天才の名を欲しいままにしたWGPライダー。
2001年WGP250ccクラスのワールドチャンピオンとなる。16戦中11勝という大記録をうち立てた。
2002年WGPmotoクラスにステップアップ。世界最強のライダーが揃うこのクラスで、表彰台2回、年間7位の好成績をあげた。
また2002年鈴鹿8耐にも出場。優勝を遂げる。
そして2003年。MotoGPライダーの彼にとって、勝負の年。その開幕4月6日、鈴鹿GP。3週目シケイン入口。転倒。
二週間の入院ののち、4月20日未明。永眠。

その走りは華麗で美しかった。そして力強く、強いレーサーだった。
いつでも自然体な人柄は、大勢の人に愛され「大ちゃん」の愛称で親しまれていた。
ひょうひょうとした姿だが、レースでは華麗で強い。ファンを愛し、家族を愛した。その彼が生まれたばかりの長女の名も知らぬ間に死んだ。

私はレースといえば四輪。F1を始めとするフォーミュラカーのレースにしか興味はなかった。それをバイクのレースにも興味を持たせたのが、加藤大治郎だった。
その圧倒的な走り。しかしカメラの前では自然体の普通の兄ちゃん。面白いキャラクター。そんなギャップが、私の興味を引いた。
それ以後WGPのレースはたまに見る程度だったが、いつも加藤大治郎を応援していた。
今年は去年以上の成績を残してくれるだろうと期待していた。またあの華麗な走りを見せてくれると。しかし‥‥

大治郎!
何故死んだ!?

もう大治郎の走りが見られない。レースに勝って喜ぶ彼の笑顔が見られない。その事が心底悲しい。
「彼は私たちの心の中に生きている」なんて言葉は、私にとっては何の意味も持たない。もう大ちゃんはいない。これが事実なのだから。
私は大治郎のこれからが見たかったんだ。もっと見たかったんだ。バイクを愛する大治郎、レースを愛する大治郎、ファンを愛する大治郎、家族を愛する大治郎、そして、彼の笑顔が。

彼の長女は凛香(りんか)と名付けられた。大治郎の愛した鈴鹿の別読みである。

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