旅のお話その23〜ムーンライト九州〜


竹内もです。
連載第23回。旅も終わりに近づいてきました。

浦上天主堂近くのバス停からバスに乗りました。
もういい加減歩き疲れて、足のマメの状態もひどかったからです。
バスは150円(だったかな?)と安いものでした(京都が高すぎるんかな?)。長崎の交通機関は安くて便利でした。上手に計画を立てていれば、もっと色々な所を回れたでしょう。

長崎駅に着いて、腹が減っていた私は吉野屋に入りました。
結局この旅では、その土地の名物料理みたいなものは一切口にしませんでした。
貧乏やから、というのもあるんですが、普段食べてる物の方が安心するんでしょうなぁ。
特盛食べて元気一杯!電車に乗り込みました。

帰りは‘ムーンライト九州’を使うことに決めました。
季節運行の電車で、博多から京都までの快速電車です。快速ですから18切符でも乗れるのです。
というわけで博多を目指します。
窓から長崎の海が見えます。この海ともお別れです。

長崎の海

博多までは、またもや爆睡。この旅ですっかり電車で眠ることに慣れてしまいました。帰ってからも、車内ですることがあっても眠くなってしまい困りました(今ではそれもなくなりましたが)。

博多に着きました。時刻は8時半頃だったでしょうか。
私が乗る‘ムーンライト九州’は21:15発(夜通し走る)です。
時間的には余裕で間に合うのですが、問題は座れるかどうかです。この手の電車は、帰省客のUターンとかですごい混むと予想されるからです。
で案の定すでに長蛇の列でした。

急いで飲み物と食べ物を買って並びました。京都まで立って帰るのはごめんです。ただでさえ足が痛いのに。
私の後にもどんどん並んできます。ホンマにこんなに乗れるんかいな?と心配してしまいました。

電車が入ってきて、ドアが開きました。阿鼻叫喚の席取り地獄、というわけではありませんが、すごく殺気だっていました。その雰囲気は恐ろしかったものの、なんとか座ることができました。バンザイ!

電車は混み混み、皆大きい荷物を持っていますので大変です。廊下にもたくさん人があふれています。ぎゅうぎゅうでした。
そこに面白いおっちゃんが登場しました。私のすぐ後ろに座っていたおっちゃんです。

その人は廊下に立っている女の子達に話しかけていました。
「12時過ぎたら暗なるで」「その体勢では寝れんやろ」などと言っています。どうやらこの電車で移動することにすごく慣れた人のようです。
そして「あっちの方がスペースあるで」と女の子達を案内し始めました。
どこも一緒ちゃうか、と私は思ったのですが、さすが慣れた方、女の子達を指定席車両のデッキに案内しているではないですか!なるほどそこならまだ空いているでしょう。

そのおっちゃんは次々と声をかけ、女の子達を誘導し、時には荷物をも持ってあげていました。
「親切な人もいるもんやなぁ、女性に気をつかってるなぁ」などと感心していると、そのおっちゃんが女の子達の誘導を終え、戻ってきました。そしてどっかと座り、ポツリと一言、

「やれやれ、これでちょっとは空いたわい」

は〜なるほど。確かにこの車両の廊下はだいぶ空きました。
たとえ座っていても、立っている人がたくさん居るとしんどいものです。このおっちゃんは、女の子達にスペースを提供し、自分も楽にしていたのでした。脱帽ものです。

世の中色んな人がおるなぁ、とつくづく思った私でありました。
そんな私を待っていたのは、この旅最後の恐怖だったのです。

続く。(次回最終回!‥‥かな?)

00.3.16

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