『自転車で上牧まで(その3)』 |
1999/Sep/25 うえだうえお |
例によって、良い所で中断するのがうえおの連載の特徴だ。(って、そんな事をわざわざ大きな文字で書くなよ>自分(^^;)) (前回からの続き) 新幹線高架下を颯爽と走っていたうえおが遭遇した恐怖とは一体? うえおが走っていた高架下は、1車線しかない一方通行路だった。あいにく、うえおの目指す方向は、道路の通行方向とは逆方向だ。しかし急いでいるのでそんなことは言っていられない。信号待ちで長蛇の列を作る自動車達の左側を、一目散に駆け抜けていったのである。 市街地で少々時間をくったので、既に日は完全に落ちている。道が暗く少々不安ではあったが、自動車は止まっているし、 『これは楽勝じゃ!』とばかりに、またまたご機嫌さんで走っていた。 もちろん、慎重派のうえおであるから、どんなにご機嫌さんでも前方の注意を怠ることは、決してない。ライトもちゃんと点けている。しかし右は長蛇の車列、左は新幹線の高架である。車列の動き出すタイミングと、上方からのコンクリート片の落下さえ気を付けていれば大丈夫だろうという、多少の油断が無かったといえばウソになるかもしれない。 その時まさに、車列の数台先の自動車の影から、何かが「すぅ〜っ」と出てくるではないか。一瞬、 『え? うそやろ?』と思ったが、それは紛れも無く、『自転車を押したおばさん』であった。車列の隙間から、何の前触れもなく出てこられたのである。せめて車列の隙間を通る時に左右を確認してくれれば良かったのだが、まったくどちらも見ること無く、優雅に自転車を押して車列の間を通りぬけようとされていたのである。 もちろん、急ブレーキをかけた。しかし間に合わない。車体を横滑りさせればなんとかなったかもしれないが、車列と高架との間には、車体を横にするほどのスペースはない。ここで横滑りしたら、僕は自動車か高架のどちらかに激突するしかない。最大限にブレーキをかけ、ぎりぎりまで車体を斜めに滑らせて、足も使って停車したが、やはり間に合わなかった。 しかし幸いなことに、おばさんの自転車の前輪部分にかるくあたっただけですんだ。ただおばさんの自転車は車列の間を通りぬけ中だったので、後輪部分が前の自動車の後部にぶつかってしまった。おばさんも随分びっくりしたようだ。(そらそうやろ。) おばさんに『大丈夫ですか?』と声をかけると、どうやら大丈夫だったようで、しきりに『すいません、すいません』と謝られておられた。おばさんの自転車があたった自動車も、どこかの会社の運搬用軽トラックだったので、運転手はまったく気にしていなかったようなので、その場は何事も無かったように、おばさんは道路を渡っていかれ、僕は一通を逆方向に走り去った。 結果的にはたいしたことは無かったのだが、あの狭い道路にあれだけの交通量があって、そこで自転車が(わずかとは言え)ぶつかったのには参った。もしも車列が止まっていなければ、僕もおばさんも確実にあの世行きだったろう。 って言うか、車列が動いてたら、あのおばさんは絶対にあんなところを渡ったりはしなかったでしょうけれど。(^^;) (つづく) |