No.628 '07/03/16

鈴木憲夫「鳩山邸」


東京で定期演奏会(バッハ「ヨハネ受難曲」〔オペラ版〕)を終え、一日おいた13日に鈴木憲夫さん宅(埼玉県鳩山町)におじゃましました。
「会いましょうね」と云いながらなかなか時間が合わず、思い切ってこの日におしかけてしまいました。

憲夫さんと

愛妻、美智子さんを亡くされて、どんな言葉を言い交わせばよいか・・・・、迷いもありましたが先ずは憲夫さんの顔が見たく<とにかく会おう!>と出かけたわけです。
来月にはプラハ公演を控えて、練習に駆け回っていらっしゃる憲夫さん。
この日も京都から帰られた翌日でした。

我々は下の写真にあるように私を含めて7人。(一人はカメラで撮ってくれています)

テラスで

テラスで

お天気も良く、とても気持ちの良いテラスでの記念写真でした。
レンタカーを借り、途中で食料を買い、短時間しか滞在できないと判りつつ(夜には大阪で「室内合唱団」の練習でしたから)昼におじゃましました。
女性達は憲夫さんに呆れられながら食事の支度。とにかく料理は食べるのが主で、作るのは苦手と来ている女性陣です。(行ったメンバーが、ですが)
結局は憲夫さんが作る、といった状態になりました。(憲夫さんの作ったパスタは美味かった!)
ビールを頂き、ワインを一緒に飲み、本当に短時間ではありましたが楽しい一時を過ごさせていただきました。

美智子さんの写真を観ていると、憲夫さんの人生が否応なしに私の脳裏に浮かんできます。
美智子さんと憲夫さんの二人三脚が浮かび上がります。
美智子さんとはほんのニ三度お会いしただけの私。
しかし、そのうちの一度はお宅に寄せていただいた時。
強烈に印象に残りました。
あの笑顔が忘れられません。気さくで、しかも細やかな心遣い。言葉の端々に温かく、心優しさを充分に感じた私です。

もっともっとご一緒したかった美智子さんです。
一杯お喋りしたかったですね。憲夫さんの作品について美智子さんの「絶賛」を聞きたかった。そう本当に思います。

遺影の前に座るのが苦手です。
一杯、普通の事としたい!「死んでなんかいるものか!」
もう私の頭の中は、強烈な印象を与えた「美智子さん」の一挙一動が渦巻いていました。そしてそこに、憲夫さんの人生が、その歩みが重なっています。
深く、私はお二人のことを知り得ているわけではありません。
しかし、確かなことがあるわけです。
それは憲夫さんの作品。
その作品を演奏することの中から私は確かに、憲夫さんと、そして美智子さんの「生きている魂」を感じとることができます。

「死んでなんかいるものですか!」
これまでの作品に、そしてこれから生まれてくるだろう作品に「生き続ける」と思っています。
いっそう輝きを増して「生き」続けるわけです。
間違いなく、演奏する私の中では「生き」続けます。

ビールとワインを頂きながらつい涙ぐんでしまいました。
期せずして、「二度とない人生だから」を弾く明子さん。
そして同行した倉橋史子が歌っています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
終わって、憲夫さんの言葉。
「良い曲だね」・・・・・・・。




十九歳、美人の猫「チコちゃん」がとても愛らしく思えました。

猫チコちゃん



No.628 '07/03/16「鈴木憲夫「鳩山邸」」終わり