八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.87


【掲載:2016/10/06(木曜日)】

やいま千思万想(第87回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

学力の向上は聞く・話す・討論すること

 先日、富山県を再び訪れました。当地で活動する「バッハアンサンブル富山」の練習のためです。
道中(大阪からは結構時間がかかります)、ある事が気になっていました。
それは全国の学力調査です。
以前にコラムで書いたと思うのですが、その時は富山県が最上位だったと記憶していて、今年はどうだったんだろうとつい調べて見たくなったのでした。
 2016年の結果が9月29日発表されていました(平成28年度、全国学力・学習状況調査〔全国学力テスト〕)。
その結果を見て色々考えさせられました。
先ず、上位はやはり日本海側なんですね。今回の上位は石川県、福井県、秋田県、そして富山県でした。富山県はちょっと下がってしまっていたのです。
 学力の向上、これに無関心ではいられません。私にとっての「賢い子」という基準は一般的な基準とは少し距離感があると思っていたのですが、その調査の中に書いてあったある言葉に目を見張りました。私が以前から良いと思っていた学習法が述べられていたのですね。
それは「アクティブ・ラーニング」という方法。
この学習法はこれまでのように教師が生徒の前に立ち、一方通行的に生徒たちに「教える」という、いわゆる講義型のものではなく、生徒たちの自発的な学習意欲を高めていこうとする方法なのですね。
それによれば、先生はマニュアル的な課題も答えも生徒たちに与えない授業内容。
生徒に疑問を投げかけ生徒たち同士の意見からそれぞれに考え始める、といったやり方です。私は思うのですね。学力を向上させる秘訣は人の話を聴くこと・説明できること・そしてディベート(討論)することだと。
 先生は課題となる事柄を提示し、答えは生徒たちが互いに意見交換しながら出す。
理解できていない生徒、解き方がわからない生徒にはできる生徒がアドバイスし、そして一緒に解いていく。
先生はそれを見守り、まとめるだけ。それは積極的に生徒たちが問題と取り組むことであり、学習意欲を互いに高めながらコミュニケーションを図っていくという方法なのですね。

 この「アクティブ・ラーニング」という学習法、それを取り上げて成果を上げた秋田県が話題になっています。
この成果を得て文科省は平成30年度から順次実施される次期学習指導要領で、アクティブ・ラーニングの導入を目指すようです。

 さて、気になる沖縄はこの調査でどうなっていたか?
沖縄はこれまでよりは底上げとなったようなのですが、残念ながら大阪や和歌山県、滋賀県、北海道などと並んで低い結果となっています。

 もう一度繰り返すのですが、学力を向上させる秘訣は人の話を聴くこと・説明できること・そしてディベート(討論)することです。
人は思うほどには人の話は聴けないですね。自身の思い込みが強いからです。
そして聴いたものを人に説明することはもっと難しい!ましてや討論することなど基本となっている「内容」が理解し合えている必要があります。
教育のあり方、無関心ではいられない私です。





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