八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.84


【掲載:2016/09/25(日)】

音楽旅歩き 第84回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

【カバンの中で賑わう図書・資料館】

 私のカバンの中には仕事柄幾冊かの楽譜、スコアが入っています。通常は四冊ほどでしょうか。
実はこれが、結構重たいのです。ですから、本番(演奏会)や練習日でないときは重たさ軽減のため数を減らすようにしています。入っているのは一冊か二冊です。
しかし時にはどうしても勉強しなければならない必要な楽譜(半年後、一年後の演奏会のための楽譜)が入っていたりしますから、この重たさと楽譜管理はいつも頭を悩ます問題です。

 まぁ、楽譜は仕事ですから致し方ないこととして、これらに加えて読みたい本があればカバンはそれにも況(ま)して膨れあがります。
もう、こうなればストレス満杯です。
できるだけ薄く、軽い本を選ぶようにするのですが、読みたい本、読まなければならない本となればそうも言ってられません。
出掛けている日のうちに読まなければならないのですから。
更に困ったもので、読みたいと思ってカバンに入れたとはいえ、読む時間が作れずただ持って出掛けて、持ち帰ってきたということが起こった場合など、その時の無念さ、虚しさといったら・・・。重たかったし、思いも遂げられなかったし。

 そこで、登場するのが「電子書籍リーダー」なる器機です。
現在では数種類の「端末」(電子書籍リーダー)が売り出されているのですが、どの社も軽さと大きさの比率を競って消費者の購買欲を刺激します。
私もそれに煽(あお)られて、カバンの軽量化と嵩張(かさば)りをふせぐために幾つか購入してしまいました。
 しかし、先ず結論を言っておきたいのですが、やはりそういった器機が便利であったとしても紙の本に勝るものはありませんね。
その肌触り、年を経るごとに歴史を刻む紙の汚れや染み、そして何よりも全体を見渡せるといった紙による書籍は人の脳には一番適しているのだと思う私です。
 とはいうものの、毎日出掛ける日々が続いている時など上記のような理由でカバンの中に端末を入れ、電車の中や喫茶店など目的地へ向かう道中で少しづつ読み進めます。
一般に読書の良いところは勿論知識を得るといったところですが、私の場合、1番の良い点は頭のリフレッシュ、ストレス解消に繋がる事です。
スコアを集中的に見なければいけない私などは、頭のリフレッシュというのが必要です。
気持ちの切り替え、スイッチングが集中力の鍵を握ります。
集中力のオンオフです。それを読書によって行おうとするわけです。
人間の集中力はそう長くは続きません。
人にもよりますが、45分程度が限界だといわれています。
その限界を感じたならばその後10分でも読書をします。私が使っている端末はメモも取れれば、大事な所は線を引くことだってできます。たとえ短い読書でもその書物の世界に入ることができるのです。これらの端末に対して400万冊以上の電子書籍の品揃えがあるといいます。
大したものです。
しかし、本好きの私、やはり紙の本も買ってしまいます。
それも同じ本を。これってありですよね?





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